必携

在宅医療・介護基本手技マニュアル

改訂第2版

必携 在宅医療・介護基本手技マニュアル 改訂第2版
著 者
監修 黒川 清(東京大学客員教授)/編集 谷亀光則(東海大学助教授)
発行年
2005年10月
分 類
介護・福祉
仕 様
B6判 700頁 図270 表114
定 価
5,145円(本体4,900円+税5%)
ISBN
4-8159-1734-5
特 色
 在宅医療について,これだけは知っておきたい,身につけておきたい,基本手技・術技のコツやポイントを分かりやすく解説する,在宅医療の必携スタンダード 改訂第2版
「家族と社会とで助け合う介護」の必要性を主軸としながら,「人としての医療」のあり方を捉え,既成の医療に一石を投じる好評の初版に,より一層充実した改訂が加えられた.在宅患者を取り巻くすべての方々にとって必須のマニュアルである.

■ 序 文

改訂第2版 序文

 世界に類をみないスピードでわが国の少子高齢化は進み,21世紀に入ってもますます加速している。また2005年の発表では男性人口が減少し始め,来年には総人口が減少すると予測されている。従来までの典型的な少子高齢化はいわゆる過疎地で多くみられたが,今後は都市部にも容赦なく襲ってくることが推測される。このような社会の変化は,社会的あるいは経済的な影響だけでなく保健医療福祉分野へも大きな影響を与えている。
 まず第一に,加齢は疾病罹患の最大のリスクファクターであることから高齢化に伴い有病率が上昇すること,第二に悪性疾患(がん)を含む生活習慣病や痴呆症状を呈する認知症が急増し疾病構造に大きな変化が生じていることなどである。第三には経済不況の影響で,医療や年金などの社会保障費が抑制される政策が行われていることである。以上の理由から,保健医療福祉分野のベクトルは明らかに在宅・居宅へと向かっていることは疑いのない事実である。ところが問題は「家族介護力の低下」である。核家族化が進み,独居や高齢者のみ世帯が明らかに増加し家族介護力が圧倒的に低下している。
 そこで必要なのが「家族の・み・の介護」ではなく「家族と社・会・と・で・助・け・合・う・介護」である。2000年から施行された介護保険制度はまさしく社会としての医療や介護の提供を円滑に行う制度である。介護支援専門員を在宅医療・介護の要としたこの制度は既に広く認知されているが,制度としての理解や在宅で提供される医療や介護の質などの点で不十分なところもあり,これらをいかに向上させ,さらに啓発していくかはわれわれ医療福祉職に課せられた課題の1つである。2006年春には介護保険法の大きな改正が予定されている。しかし制度が変わっても,提供される医療や介護サービスの質には根本的にはなんら変わりはない。患者・利用者本位のサービスが提供されるべきだからである。この本は2000年に発行されたものの改訂版であり,本書が在宅医療や介護の質の向上やケアの標準化の一助となり,さらに在宅医療や介護に携わっている皆様の日常の活動に少しでもお役に立てることができれば幸いである。また皆様の御批判や御意見を忌憚なく頂き,今後の改訂の参考にしたいと考えている。

■ 主要目次

総 論

第1章:在宅医療の基盤

  1. 在宅医療とは何か
  2. 多職種協働とケアマネジメントの方法論
  3. 地域連携における在宅医療

第2章:家族との協力の取り方

  1. 病院から在宅医療への導入
  2. 介護者としての家族のストレスと
  3. 信頼関係の構築
  4. 家族の心身の健康

第3章:在宅医療・介護で必要な基本手技

  1. 全身状態のみ方とバイタルサイン
  2. 入浴介助
  3. 清拭
  4. 失禁リハビリと排泄援助
  5. 褥瘡の予防と処置
  6. 摂食・嚥下リハビリテーションと食事介助
  7. 採血
  8. 創傷の処置
  9. 吸入
  10. (気管内・口腔内)吸引
  11. 気管カニューレの交換と管理
  12. 膀胱留置カテーテルの交換と管理
  13. 膀胱洗浄
  14. 胃瘻の管理と処置
  15. PTBD(経皮経肝胆道ドレナージ)カテーテルの管理
  16. ストーマの管理
  17. 摘便
  18. 浣腸

第4章:診療報酬で指導管理料が認められているもの

  1. 在宅自己注射
  2. 在宅自己血糖測定
  3. 在宅自己腹膜灌流
  4. 在宅血液透析
  5. 在宅酸素療法
  6. 在宅人工呼吸
  7. 在宅持続陽圧呼吸療法−CPAPとNIPPV
  8. 在宅自己導尿
  9. 在宅(中心)静脈栄養(HPN)
  10. 在宅悪性腫瘍患者診療
  11. 在宅寝たきり患者指導
  12. 在宅リハビリテーション
  13. 在宅患者訪問点滴注射

第5章:在宅医療・介護へのさらなる理解に向けて

  1. 在宅栄養食事指導
  2. 在宅服薬指導
  3. 在宅ターミナルケア
  4. 認知症の在宅ケア
  5. 向精神薬の正しい使用方法
  6. 在宅における異常徴候の捉え方
  7. 痛みの捉え方と処置−身体とこころと暮らしを総合的に診る−
  8. 発熱の捉え方と処置
  9. 皮疹へのアプローチ
  10. 口腔領域へのアプローチ
  11. 神経難病の在宅ケア
  12. 在宅ケアにおける感染症予防対策
  13. 臨終時の心構えと対応

第6章:在宅医療を取り巻く諸問題

  1. 在宅医療の倫理問題
  2. 在宅医療で発生する廃棄物の適正処理
  3. 在宅医療における支援体制との連携
  4. 在宅医療の将来性と方向性

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