動脈硬化


最新の基礎と臨床

動脈硬化 最新の基礎と臨床
著 者
監修:中島 康秀(産業医科大学第 教授)
   
編集:太崎 博美(産業医科大学第 助教授)
発行年
2006年3月
分 類
循環器・血管
仕 様
B5版 310頁 105図 表64
定 価
9,975円(本体9,500円+税5%)
ISBN
4-8159-1750-7
特 色
動脈硬化学の最新情報・治療成果を一冊にまとめ,最新情報を一望に概覧できること,他分野の動向を知ることにより各分野の研究の方向づけに役立つことを目的にしている.「臨床」編,「基礎」編により最新情報を自由に取り入れるよう工夫している.

■ 主要目次

オーバービュー
動脈硬化の病理と発生機序-とくに炎症・免疫機序に関する最近の動向
1)動脈硬化の病理
(1)内膜肥厚
(2)脂肪斑
(3)粥状硬化
(4)動脈硬化のAHA分類
2)動脈硬化の発生病理-とくに炎症・免疫機序に関する最近の動向
(1)動脈硬化の始まりに炎症は不可欠か?
(2)ヒスタミン-サイトカインネットワークと動脈硬化
(3)炎症マーカー-とくにCRPと動脈硬化
(4)動脈硬化と免疫反応-とくに血管樹状細胞の役割
(5)プラーク破綻の発生機序


I.動脈硬化性疾患


1. 総 論
 1)動脈硬化の成り立ち
 2)LDL受容体
 3)動脈硬化治療におけるEBM(Evidence Based Medicine)

2. 冠動脈硬化症
 1)疫学:日本における冠動脈硬化症の発症-罹患と死亡
 2)定義・分類
 3)病理・病態
 (1)冠動脈硬化
 (2)急性冠動脈硬化(血栓性)
 (3)冠攣宿(スパスム)
 4)症候と鑑別診断
 (1)症状
 (2)徴候
 (3)鑑別診断
 5)検査
 (1)心電図診断
  a.安静時心電図診断
  b.運動負荷心電図診断
 (2)超音波診断
  a.心筋壁運動
  b.心筋コントラストエコー
  c.冠血流計測
 (3)核医学診断
 (4)冠動脈造影診断
 6)治療
 (1)狭心症発作
 (2)虚血改善のための薬物療法
  a.β-ブロッカー
  b.カルシウム拮抗剤
  c.抗血小板剤
  d.硝酸剤
 (3)冠危険因子の治療

3. 閉塞性動脈硬化症
 1)疫学
 2)原因(危険因子)および病態生理
 3)症状
 4)診断
 (1)外来での診察
 (2)検査法
  a.Ankle Brachial Pressure Index ( ABPI)
  b.趾尖容積脈波,サーモグラフィー
  c.近赤外線分光法
  d .経皮的酸素分圧測定法
  e.Duplex法,カラードプラ法
  f.Computed Tomography(CT)
  g.MR angiography ( MRA )
  h.血管造影
 (3)鑑別診断
 5)治療
 (1)生活指導
 (2)薬物療法
  a.経口薬
  b.注射薬
 (3)運動療法
 (4)血管内治療
 (5)外科的血行再建術
  a.腹部大動脈,腸骨動脈閉塞例
  b.大腿動脈以下の閉塞例
  c.多分節領域閉塞例
 (6)交感神経節切除術
 (7)切断術
 (8)その他の治療
  a.血管新生療法
  b.LDLアフェレーシス
 6)予後

4. 脳血栓
 1)診断・鑑別診断
 (1)救急処置
  a .搬送時の注意点
  b.バイタルサインのチェック
 (2)初期臨床診断
  a.正確な病歴の聴取
  b.診察
 (3)鑑別診断について
  a.脳出血
  b.くも膜下出血
  c.他
 2)検査
 (1)一般検査
 (2)心機能検査
 (3)神経学的補助検査
  a.画像検査
  b.神経電気生理学的検査
 3)治療
 (1)脳梗塞の急性期治療
  a.一般的治療について
  b.急性期の脳梗塞各病型による治療について
 (2)慢性期脳梗塞治療について
  a.一般的治療
  b.薬物療法について
 4)予後および再発率
 (1)予後について
 (2)再発率について

5. 頸動脈硬化症
 1)内頸動脈閉塞性疾患の病因
 2)内頸動脈狭窄症の症候
 3)内頸動脈閉塞症の症候
 4)一過性脳虚血発作 transient ischemic attack : TIA
 5)頸動脈狭窄症の検査
 6)内頸動脈狭窄症の治療
 (1)内科的治療
 (2)外科的治療

6. 腎動脈硬化症
 1)腎動脈狭窄,虚血性腎症,腎血管性高血圧
 (1)概念・疫学
 (2)病因
 (3)病態生理
 (4)症状
 (5)診断
 (6)鑑別診断
 (7)治療・予後
 2)コレステロール塞栓
 (1)概念・疫学
 (2)病因
 (3)症状・検査所見
 (4)診断
 (5)鑑別診断
 (6)治療・予後
 3)粥状硬化性腎症
 (1)概念
 4)腎梗塞
 (1)概念・疫学
 (2)病因
 (3)症状
 (4)診断
 (5)治療
 5)腎硬化症-良性腎硬化症,悪性腎硬化症
 (1)概念・疫学
 (2)症状
 (3)診断
 (4)鑑別診断
 (5)治療
 (6)予後
 おわりに


II.動脈硬化症の基礎的研究


1.動脈硬化の病理学的進展とメタボリック症候群

2.LDL( 酸化), Lipoprotein(a) と動脈硬化
 1)LDL-とくに酸化LDLについて
 (1)LDLの代謝
 (2)酸化LDLの動脈硬化巣進展における役割
 (3)スカベンジャー受容体
 (4)LDLの酸化されやすさ
 2)Lipoprotein(a)
 (1)Lp (a)の構造,代謝,血漿レベル
 (2)Lp (a)の動脈硬化巣の形成における役割
  リポ蛋白として
  凝固線溶系との関係
  TGF-β(transforming growth factor-β)に対する作用

3.NOと動脈硬化
 1)動脈硬化におけるeNOSおよびiNOSの役割
 2)動脈硬化におけるnNOSの新しい役割
 3)血管壁細胞におけるnNOSの発現調節機構
 4)動脈硬化におけるNOSシステムの協調的役割

4.レニン-アンギオテンシン系, 活性酸素種と動脈硬化
 1)Ang と動脈硬化
 (1)血管の透過性が増大する段階
 (2)白血球が血管壁内に接着し,浸潤していく段階
 (3)組織のリモデリングが起こってくる段階
 2)NAD (P) Hオキシダーゼ,ROSと動脈硬化

5.細胞外マトリックスと動脈硬
 1)発生期の動脈と動脈硬化病変での細胞外マトリックス
 2)発生期の動脈と動脈硬化でのMMPs
 3)プラークの不安定化とマトリックスおよびMMPs
 4)MMPsの遺伝子多型と心血管疾患
 5)新しい動物モデル

6.接着分子と動脈硬化
 1)細胞接着分子とは
 2)炎症性細胞の血管内から炎症部への遊出機構
 3)ケモカインによるインテグリン活性化と血管外遊出の機構
 4)動脈硬化病変における接着分子を介する細胞間相互作用
 5)血栓形成と血管障害

7.血液凝固因子と動脈硬化
 1)凝固反応系
 (1)血栓形成機序
 (2)外因性凝固系と血管内皮細胞
 2)トロンビン
 (1)トロンボモジュリン(thrombomodulin)
 (2)トロンビンレセプター(thrombin receptor)
 3)線溶反応系
 4)PAI-1 ( plasminogen activator inhibitor type 1 )
 (1)PAI-1の病的意義
 (2)PAI-1と高トリグリセライド血症
 5)遺伝子多型 ( polymorphisms )
 (1)凝固第・因子 ( F-・ )
 (2)APC ( activated protein C )レジスタンス
 (3)PAI-1遺伝子多型

8.腎硬化症と細胞内シグナリング
 1)高血糖による細胞内シグナル伝達
 2)TGF-βによる細胞内シグナル伝達
 3)Angiotensin (A)による細胞内シグナル伝達
 4)Integrinによる細胞内シグナル伝達

9.高血糖,高インスリン血症と動脈硬化
 1)高血糖と高インスリン血症
 (1)血糖値とインスリン分泌
 (2)高血糖とインスリン抵抗性
 2)高血糖と動脈硬化
 (1)血管内皮細胞の機能異常
 (2)ポリオール経路
 (3)酸化ストレス
 (4)糖化反応(グリケーション)
 (5)プロテインキナーゼC ( protein kinase C : PKC )の活性化
 (6)血管内皮細胞増殖因子 ( VEGF/VPF)
 3)高インスリン血症と動脈硬化
 (1)糖尿病とインスリン分泌異常
 (2)疫学からみた高インスリン血症
 (3)血管内皮に対するインスリンの役割
 (4)高インスリン血症と炎症マーカー
 (5)内皮障害と酸化ストレス
 (6)インスリン抵抗性と肥満


 

III.動脈硬化症の危険因子とそのコントロール


1 . 治療総論-動脈硬化症のガイドラインと新しい危険因子,評価法
 1)従来の危険因子の新しい知見
 (1)高コレステロール血症
 (2)軽症糖尿病・耐糖能異常
 (3)間接喫煙
 2)新しい危険因子
 (1)メタボリック症候群
 (2)高ホモシスティン血症
 (3)クラミジア感染
 3)新しい冠動脈硬化症の評価法
 (1)画像的診断
 (2)生化学的診断

2 . 高コレステロール血症
 1)高コレステロール血症と動脈硬化のモデル疾患-家族性高コレステロール血症について
 (1)FHの高コレステロール血症
 (2)黄色種
 (3)動脈硬化症,とくに冠動脈硬化症
 (4)FHの成因
 2)動脈硬化性疾患診療ガイドライン設定のコンセプト
 (1)個々の危険因子からグロバール・リスクへ
 (2)相対リスクから絶対リスクへ
 (3)チャートまたは計算式によるグローバル・リスク評価がガイドライン設定の大前提
 (4)患者カテゴリー別治療目標値
 (5)一般診療における治療目標値到達率( J-LAP )
 (6)ガイドラインは進化する
 3)高脂血症の治療
 (1)高脂血症治療の長期効果-大規模臨床試験
  a.最近発表された大規模臨床試験
  (ウ)TNT( Treating to New Targets )
  (エ)CARDS ( Collaborative Atorvastatin Diabetes Study )
  b.現在進行中の大規模臨床試験
  c.わが国で行われた大規模臨床試験
 (2)スタチンをどこまで増量すべきか?-薬剤の併用療法について

3 . メタボリック症候群
 1)メタボリック症候群の由来
 2)肥満
 (1)動脈硬化に対して
 (2)脂肪分布による特徴
 (3)脂質代謝異常発症機序
 3)高中性脂肪血症
 (1)基準値
 (2)分類
 (3)成因
 (4)動脈硬化に対して
 4)低HDL ( High-Density Lipoprotein )血症
 (1)動脈硬化に対して
 (2)成因
 5)治療
 (1)食事療法
  a.トリグリセライドのみが高い場合
  b.トリグリセライドに加えコレステロールも高い場合
 (ウ)b型高脂血症
 (エ)」型高脂血症
  c.ω-3系多価不飽和脂肪酸
  d.アルコール
  e.低HDL血症に対しての注意点
 2)運動療法
  a.適応と禁忌
  b.運動の実際
 (3)薬物療法
   フィブラート製剤

4 . 抗凝固療法
 1)血栓症の早期診断法
 (1)一般血液検査
  a.血小板機能検査
  (ウ)出血時間
  (エ)血小板粘着能
  (オ)血小板凝集能
  b.血小板活性化のマーカー
  (ウ)血小板活性化によって生ずる血小板断片の測定
  (エ)血小板膜糖タンパクの変化
  (オ)血小板活性化に伴い血漿中に放出される物質
  c.凝固線溶系分子マーカー
  (ウ)凝固系
  (エ)線溶系
 (2)画像診断
  a.超音波検査
  b.CT検査
  c.血管撮影
  d.サーモグラフィー
  e.血小板シンチグラフィー
 2)抗凝固薬,抗血小板薬の作用機序および使い方
 (1)抗凝固薬
  a.ヘパリン
  b.ワーファリン
 (2)抗血小板薬
  a.アスピリン
  b.チクロピジン
  c.シロスタゾール
  d.ジピリダモール
  e.ベラプロスト
  f.オザグレル
  g.イコサペンタエン酸エチル ( EPA )
  h.塩酸サルポグレラート
  i.バトロキソビン
  j.その他
 (3)抗トロンビン薬
  a.アルガトロバン
 3)疾患別治療
 (1)虚血性疾患
  抗凝固薬
  a.ヘパリン
  b.ワーファリン
 (2)虚血性脳血管障害
  a.アテローム血栓性梗塞
  b.心原性脳塞栓症
  c.ラクナ脳梗塞
 (3)閉塞性動脈硬化症

5 . 糖尿病
 1)2型糖尿病の一次予防
 2)2型糖尿病の二次予防
 3)75g OGTTの有用性
 4)糖尿病コントロールにおける薬物治療開始の目安と目標
 5)糖尿病合併高血圧および高脂血症の管理目標

6 . 高血圧症
 1)定義,頻度
 2)診断
 (1)病歴
 (2)現症
  血圧測定
 (3)臨床検査
 3)治療
 (1)日常生活指導
  a.体重の減量
  b.飲酒の制限
  c.運動
  d.塩分の制限
  e.カリウムの摂取
  f.禁煙
 (2)薬物療法
  a.高齢者の高血圧
  b.脳血管障害患者
  c.冠動脈疾患患者
  d.腎障害を伴った患者
  e.糖尿病を伴った患者
  f.脂質代謝異常患者
  g.高血圧性緊急症

7 . 喫 煙
 喫煙に対する意識(準備性)を把握する
 問診表による依存度の把握
  1)病院敷地内の禁煙化
  2)診療室の待合場所における情報提供
  3)喫煙に関する問診票
  4)呼気中一酸化炭素濃度測定
  5)問診で行うべきこと
  6)ニコチン代替療法
 最新の話題-9学会合同「禁煙ガイドライン」

8 . 慢性腎不全(透析)と動脈硬化
 1)動脈硬化の成因
 (1)危険因子
  a .高脂血症
  b.サイトカイン
  c.ホモシスティン血症
  d.その他
 (2)病理所見
 2)治療
 (1)食事療法
 (2)薬物療法
 (3)至適透析

9 . 冠動脈疾患のカテーテル治療
 1)カテーテル治療の歴史
 2)冠動脈疾患のカテーテル治療の適応
 (1)狭心症あるいは無症候性心筋虚血に対するPCIの適応
 (2)急性冠症候群でのPCIの適応
 3)冠動脈疾患のカテーテル治療の種類
 (1)経皮的バルーン形成術
 (2)ステントによる治療
 (3)方向性アテレクトミーによる治療
 (4)ratational coronary atherectomy ( ロータブレター)による治療
 (5)その他のニューデバイスによる治療
 4)冠動脈疾患のカテーテル治療の将来

10 .冠動脈疾患の手術治療
 1)冠動脈バイパス術
 (1)手術術式
 (2)適応
 2)左室瘤手術
  特徴
  適応
  手術術式
  術技
  症例
  Dor術式の効果
 3)虚血性僧帽弁閉鎖不全症 Ischemic mitral regurgitation ( IMR )
 (1)急性僧帽弁閉鎖不全
 (2)慢性僧帽弁閉鎖不全
  症例
 4)心筋梗塞後中隔穿孔 Postinfarction ventricular septal perforaton ( VSP )
 (1)手術・手術適応
 (2)症例


IV. 動脈硬化症のリハビリテーション


1 . 総 論
 1)脳血管障害のリハビリテーション
 2)心疾患のリハビリテーション
 3)今後の課題

2 . 冠動脈疾患のリハビリテーション
 1)運動療法について
 (1)歴史
 (2)運動療法の効果
 (3)運動処方の実際
 2)狭心症の心臓リハビリテーション
 3)心筋梗塞の心臓リハビリテーション
 (1)わが国における心筋梗塞に対する心臓リハビリテーションの変遷
 (2)心臓リハビリテーションの効果
 (3)各病期における心臓リハビリテーション
 4)冠動脈バイパス術後の心臓リハビリテーション
 5)今後の冠動脈疾患のリハビリテーション

3 . 脳動脈疾患のリハビリテーション
 1)急性期のリハビリテーション
 2)亜急性期のリハビリテーション
 3)慢性期のリハビリテーション


付 録
          

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