プライマリ・ケア医のための


地域医療の実際 日常診療への取り組み

プライマリ・ケア医のための 地域医療の実際
著 者
著者:鈴木 荘一(鈴木内科医院 院長)
発行年
2006年5月
分 類
プライマリ・ケア医学
仕 様
A5版 204頁 図13 表25
定 価
3,360円(本体3,200円+税5%)
ISBN
4-8159-1753-1
特 色
これから開業医師(地域主治医)を始めようとする医師,あるいはすでに開業されている医師のために,地域医療での必要な技術と知識をコンパクトにまとめた手引き書.著者40余年の開業医経験と学会での研鑽から得た診療哲学「サイエンスの医学を動かすのは人である」の重要性をやさしく説く.

●推薦のことば

 「開業医の医療には,大学や大病院の医療とは違う,何か大きなものがある.」これは私が千葉大学第二外科,成田赤十字病院の勤務の後,東京で開業したときの実感であった.
 それで,昭和38年,私たちはわが国初めての全国的な研究会「実地医家のための会」をつくり,昭和53年には「日本プライマリ・ケア学会」を発足させ,この「開業医の医学」が何であるか,調査・研究を続けてきた.
 この40余年の研鑽でわかったことは,開業医の医学が「病人中心」であり「ことばによる病人の人間理解」にその基盤があったのに対し,大学や大病院の医学は「病気中心」であり,「先端医学追求」に重点がおかれていたことである.
 そしてさらに,開業医の医療があらゆる病気の極めて早い時期のものや,軽症例,不全型,そして多くの日常病など,あらゆる疾病に対処しているのに対し,大学や大病院の医療はここを訪れる限られた疾病しか診療していない事実があった.
 現在の医学会においては大学,大病院が上位におかれている.しかし以上に述べたように「医学,医療の本道」は「開業医の医療」の中にあり,私が昭和32年に開業して最初に感じた「何か大きいもの」はこのことであった.
 今回,鈴木荘一先生が私たちの過去40余年の学習・研鑽に基づき,「開業医の医学」の手引書としてこの立派な一書を書きあげられた.鈴木荘一先生の病人に対する深い心と,医学・医療の本道に対する情熱とが本書をつくりあげた.開業歴の長短を問わず,多くの医師のお役に立つ書が生まれたことを喜びたい.


実地医家のための会 永井友二郎

■ 主要目次

I.総 論

緒   言

1.プライマリ・ケアとコミュニケーション
  1.開業医のアイデンティティーとは
  2.プライマリ・ケア医としての開業医
  3.開業医療、その自由を活かす
  4.開業医療におけるコミュニケーション 新しいコミュニケーション技法
  5.受診理由へのよりよい対処方法
2.こころの問題
3.外来診察の具体的方法
  1.面接
  2.身体診察
  3.問題解決の道
4.在宅医療
  1.在宅医療総論
  2.在宅医療開始時の患者・家族への対応
  3.在宅医療を中止するとき
  4.新たに届け出る制度:在宅診療支援診療所
  5.介護保険の概説
  6.訪問看護・訪問介護
  7.指導管理が認められている手技
5.ターミナル・ケア
  1.現代の延命技術の問題点
  2.ターミナル・ケアの基本技術
  3.在宅酸素療法
  4.死が近づいていることのおよその予測
6.癌患者とプライマリ・ケア
  1.癌発見の難しさ
  2.癌患者とのコミュニケーション
  3.プライマリ・ケアと在宅癌患者


II.愁訴症候と治療

総合的に診る

1.症候編61
  1.せき、のど、はなの症状61
  2.発熱
  3.発疹
  4.腹痛
  5.めまい、ふらつき
  6.胸痛、胸部圧迫感、喘息
  7.骨・関節の痛み
  8.手足のしびれ
  9.便秘・下痢
  10.全身【倦】怠感
  11.頭痛
  12.動悸
  13.嘔気・嘔吐
  14.体重減少
  15.肥満
  16.不眠・不安・うつ病
  17.認知症
  18.尿失禁・排尿困難2.自覚症状に乏しい重大疾患
  1.高血圧症
  2.高脂血症
  3.糖尿病
  4.メタボリック・シンドローム
  5.骨粗鬆症
  6.虚血性心疾患
  7.呼吸器感染症
  8.心不全
  9.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  10.性行為感染症
  11.熱傷


III.子どもの保健・医療

1.予防接種
  1.ポリオワクチン
  2.ジフテリア・百日咳・破傷風混合(DPT)ワクチン
  3.麻疹ワクチンと風疹ワクチンは混合MRワクチン接種
  4.BCG
  5.日本脳炎
  6.インフルエンザワクチン
2.子どもの医療
  1.子どもの発育成長
  2.子どもの診察
  3.小児の愁訴と疾患
  4.学校保健


iV.診療所内でできる検査

1.プライマリ・ケアにおける検査の選択
2.検査法
3.産業医について


V.開業医への道程

1.経営理念の策定
  1.開業前の予備知識
  2.診療所診療で必要な知識・技術
  3.具体的な開業の準備
  4.目標指向
  5.診療所・医院開設の手順
  6.開業医の現状と将来
  7.開業へのスケジュール
2.診療方針(経営方針)の方向
  1.疾病構造の変化
  2.診療所の標榜形態
3.卒前実習、卒後研修の指導について
  1.診療所における学生実習の始まり

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