よくわかる乳癌のすべて

よくわかる乳癌のすべて
著 者
編集:飯野 佑一(群馬大学 教授)
著 者
編集:園尾 博司(川崎医科大学 教授)
発行年
2006年6月
分 類
癌・腫瘍・乳房
仕 様
B5版
定 価
14,000円(本体 14,700円+税5%)
ISBN
4-8159-1755-8
特 色
乳腺専門医を目指す若手医師をはじめ,研修医,開業医,看護師,薬剤師,検査技師,MRなどを主な対象とし,さらに患者やその家族に説明する場合の資料提供として,また患者や家族が直接読んでも理解できるように配慮された,わかりやすい解説書.
乳癌に関する幅広い分野まで言及し,全章にわたり最新の情報を加え,日常診療の現場で役立つ実践的な指針書として内容,質ともに非常に充実した本領域での決定版である.
序 文

 本書の主な読者対象としては、乳腺専門医を目指す若手医師をはじめ、研修医、開業医、看護師、薬剤師、検査技師、MRなどを想定している。さらに患者やその家族に説明する場合の資料提供として図表を用いたり、または患者や家族が直接読んでもわかるように、できるだけわかりやすい解説書としたつもりである。
 乳癌診療の歴史、疫学に始まり、診断、病理、分子生物学、治療と続き、インフォームド・コンセント、チーム医療と緩和ケア、病理分類および治療結果判定と流れてゆく。最後の特別企画は乳腺専門医、クリニカル・パス、診療ガイドライン、マンモグラフィ検診精度管理中央委員会などの最新の動きを取りあげ、医療経済、遺伝子カウンセリング、健康食品・代替医療など意外と知られていない分野にも触れ、看護、薬剤管理の現状を知り、患者会、乳癌の医学史と結んでいる。別枠で幅広い分野まで言及した新しい試みとして自負している。また最新の情報なども加えてわかりやすく解説し、日常診療の現場で役立つ実用書を目指した。  したがって、執筆者には当然わかっている用語でも、研修医やコメディカルの方々にはよくわからないものもあることを配慮したり、患者やその家族にも理解して頂けるように文章はできる限りわかりやすい平易な表現として下さるように各執筆者にお願いした。
 写真、図表、イラストなどを用いて視覚的要素をなるべく多く盛り込んだり、コツ。ポイント。注意点。重要事項。用語解説。メモ。などの囲み記事を適宜挿入して、読みやすさを配慮したりするなどの工夫も企画の主旨として理解頂けると確信している。
 EBM(evidence-based medicine)に基づいて乳癌診療が行われるべきであるという基本姿勢は誰しも認めるところである。しかも乳癌診療の進歩は著しく現場において実際に診療に従事する者は常に最先端、最新の診療内容を消化し、実際の診療に導入して役立てることが要求される。したがって、治療を行う側と患者との間には常にきめ細かい会話が必要であり、現実に即した対応が不可欠である。知識を優先するのではなく、知識を構築していかに患者に対応するかが大切である。このような理由で関連領域の方々に役立つ実践的な指針書として実際に即したその場で役立つ情報をご提供頂き、今回単行本のシリーズの1つとして本書の刊行となった。よくわかる。とは内容がわかりやすく、実践的で、最新情報が提供でき、親しみがあるなどを併せ持つ含蓄のある言葉である。各執筆者の脈動が聞こえてくるまさに時機を得た企画であると確信している。ご協力頂いた皆様に深謝するとともに、本書が読者それぞれの立場で幅広く活用されることを期待する。


平成18年6月吉日
飯野佑一
園尾博司

■ 主要目次

I.乳癌診療の過去・現在・未来


II.疫学

 1.罹患率と死亡率の推移
 2.家族性乳癌の診断,  治療, 予防


III.診断

 1.乳腺の解剖と生理
 2.視触診
 3.マンモグラフィ
 4.超音波検査
 5.MRI
 6.CT
 7.核医学的診断
 8.乳管内視鏡
 9.細胞診
 10.Core Needle Biopsy(CNB)
 11.マンモトーム生検
 12.外科的生検
 13.乳癌の腫瘍マーカー


IV.病理

 1.病理標本の取り扱い
 2.乳癌と鑑別を要する良性疾患の病理
 3.境界病変
 4.組織型分類
 5.病理学的悪性度分類


V.分子生物学的特徴

 1.悪性度
 2.エストロゲンレセプターとホルモン依存性分子機構
 3.Intracrinologyとアロマターゼ
 4.HER2


VI.手術療法

 1.乳房切除術
 2.乳房温存術
 3.乳腺全切除
 4.乳腺鏡視下手術
 5.乳房再建術
 6.術後管理,合併症,リハビリテーション
 7.乳癌に対するRFA療法について


VII.薬物療法

 1.術前薬物療法
 2.術後薬物療法の基本的考え方
 3.St. Gallemコンセンサス
 4.再発治療(治療方針)
 5.進行・再発乳癌の化学療法
 6.進行・再発例の内分泌療法 
 7.骨転移の治療
 8.分子標的療法
 9.新薬開発の現状と展望
 10.乳癌の発癌予防


VIII.放射線療法

 1.術後放射線療法
 2.再発乳癌に対する放射線治療


IX.乳がん検診

 1.視触診の成績と限界
 2.マンモグラフィ併用検診
 3.乳房自己検診


X.乳癌診療におけるインフォームド・コンセント

 1.患者への説明
 2.乳癌診療におけるインフォームド・コンセント−セカンドオピニオン−
 3.臨床試験(治験)
 4.妊娠と乳癌
 5.ホルモン補充療法・ピル


IX.チーム医療と緩和ケア 

 1.チーム医療
 2.緩和ケア
 3.サイコオンコロジー
 4.緩和医療における薬物療法


XII.病期分類および治療効果判定 

XIII.特別企画

 1.乳腺専門医
 2.クリニカルパス
 3.診療ガイドライン
 4.マンモグラフィ検診精度管理中央委員会
 5.医療経済
 6.家族性乳癌における遺伝カウンセリング
 7.健康食品,代替医療
 8.看護
 9.薬剤管理
 10.患者会
 11.乳癌の歴史

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