脳神経外科バイブルV 奇形疾患を究める


脳神経外科バイブルV 奇形疾患を究める
著 者
著:窪田  惺(立川若葉町脳神経外科)
   
       (元埼玉医科大学 助教授)
発行年
2006年10月
分 類
脳神経外科学
仕 様
B5判
定 価
9,975円(本体 9,500円+税5%)
ISBN
4-8159-1769-8
特 色
 医学生から脳外科研修医,さらに専門医を目指す方々を対象に,奇形疾患について発生学の基礎から高度な知識までを,簡潔明解な箇条書による本文,図表を主体とする構成で読みやすく,分かりやすい,工夫を随所にこらした参考書.
[本書の構成]
・第1章 奇形を理解するのに必要な解剖と機能を概説.奇形に関する症候群も取りあげる.
・第2章 基本編として奇形疾患の基礎知識,よく遭遇する疾患を中心に解説.
・第3章 奇形疾患についてさらに深く掘り下げる.また,奇形の範疇に入らない疾患についても記載した.
・第4章 第2,3章の「まとめ」のほか,「耳寄りな情報」として種々の項目を取りあげたいつでも利用できる便利な臨床ノートとなっている.

序   文

 脳神経外科バイブルシリーズの第5弾は、奇形疾患です。最初の予定では、奇形のほかに感染性疾患、頸椎・頸髄疾患および神経血管圧迫症候群も掲載することになっていましたが、奇形の頁数が予定よりも大幅に増加したため、奇形だけを単独で刊行するこになりました。そして、感染性疾患、頸椎・頸髄疾患および神経血管圧迫症候群は、脳神経外科バイブルシリーズの第6弾として別に刊行する予定としました。この予定変更、および第5弾の刊行が大幅に遅れたことに対して、読者の方々にこの紙面をお借りしてお詫び申し上げます。
 奇形疾患を理解するうえにおいては“発生学”が大変重要で、“発生学”を語らずして奇形疾患を語ることはできません。そこで、中枢神経系や頭蓋骨の発生を第1章に取りあげましたが、それらの発生時期に関しては、成書により若干の相違があります。できるだけ多くの成書を参考にして発生時期を記述しましたが、他の成書と若干異なる部分があるかも知れません。また、奇形の分類や奇形の発生時期に関しても、成書や文献により異なっています。この点に関しても多くの成書や文献を読破し、読者の方々が混乱しないように記載しましたが、他の成書と幾分異なる点があるかも知れません。予めご了解ください。
 本書の構成および特徴は、既刊の脳神経外科バイブルT〜Wと基本的には変わらず、以下のようになっています。
 1第1章は、奇形を理解するうえで必要な解剖と機能の記載が中心で、その他、奇形に関連する症候群も記載してあります。
 2第2章は、基本編ともいうべき部門で、奇形疾患の基本的事項や実地臨床でよく遭遇する疾患を中心に記載してあります。
 3第3章は、第2章で取りあげた疾患についてはさらに深く掘り下げて記載するとともに、頻度の少ない疾患についても記載してあります。また、本来奇形の範疇には入らない疾患も、この第3章で取りあげて記載してあります。
 4第4章は、読者の方々がベッドサイドや試験勉強の際に役立つようにとの配慮から設けました。第2章や第3章のまとめのほかに、「耳よりな情報」として種々の項目を取りあげていますので、ご利用ください。
 5本書のところどころに、「快適空間」として余白部分を設けました。読者の方々のメモ代わりとして、また本書の不足な部分を補足して書き加えてもらうなど、自由にお使いください。
 6既刊の脳神経外科バイブルT〜Wで取りあげた症候群においても、奇形に関連するものは再度取りあげ掲載してあります。但し、文献に関しては一部割愛しました。
 7用語については、日本脳神経外科学会用語委員会編集の脳神経外科用語集(南江堂、1995)に準じて記載しました。
 本書の執筆にあたり多くの資料に目を通し、間違いのないように書いたつもりですが、著者の思い違いや読者の方々にとって異論のある箇所があるかも知れません。その際には、編集室の方へご意見をお寄せ頂ければ幸いです。そして、読者の方々の力で、よりよい本にして頂きたいと願っています。
 最後に、本書の執筆の機会を与えて下さった永井書店東京店高山 静編集長および編集や校正にご協力頂いた山本美恵子様に心より感謝致します。また、本書を執筆するにあたり、有意義な助言を頂いた埼玉医科大学脳神経外科講師熊井戸邦佳博士、および資料の収集や整理にご協力頂いた前埼玉医科大学脳神経外科医局秘書井出トク子様に深甚の謝意を表します。

2006年10月
窪田 惺

■ 主要目次




第1章 奇形へのプロローグ

1●奇形疾患に必要な解剖と機能
 1.骨格系発生の概説
 2.頭蓋骨の発生
 3.中枢神経系の発生
 4.脳の発生
 5.頭蓋内のくも膜・軟膜およびくも膜下腔の発生
 6.脳室の発生
 7.中脳水道
 8.脈絡叢
 9.脳における髄鞘形成(髄鞘化)
10.脊髄

2●奇形に関連する症候群
 1.Aicardi症候群
 2.Apert症候群
 3.Beevor.徴候
 4.Bobble-head doll syndrome(首振り人形症候群)
 5.Carpenter症候群
 6.Currarinoの三徴候
 7.Dandy-Walker奇形
 8.de Morsier症候群
 9.Down症候群
10.原発性トルコ鞍空洞症候群
11.Horner症候群
12.Joubert症候群
13.歌舞伎メーキャップ症候群
14.Kallmann症候群
15.係留脊髄症候群
16.Klinefelter症候群
17.Klippel-Feil症候群
18.抗利尿ホルモン分泌異常症候群
19.クローバー葉頭蓋症候群
20.Laurence-Moon-Biedl症候群
21.Lennox症候群
22.Meckel症候群
23.Miller-Dieker症候群
24.Norman-Roberts症候群
25.離断症候群
26.小脳橋角部症候群
27.Split notochord syndrome(分離脊索症候群)
28.Sturge-Weber病(症候群)
29.大孔症候群(大後頭孔症候群)
30.Waardenburg症候群
31.Walker-Warburg症候群
32.West症候群

第2章 奇形へズームイン

1●エントランス
 1.総説
 2.奇形
 3.主な中枢神経奇形の発生時期
 4.出生前診断
 5.乳幼児の反射と運動発達
 6.頭蓋と頭囲
 7.脳脊髄液
2●神経管閉鎖障害
 1.総説
 2.二分頭蓋
 3.二分脊椎
 4.先天性皮膚洞
 5.係留脊髄症候群
 6.脊髄空洞症
 7.割髄症
 8.神経腸嚢胞
 9.脊髄脂肪腫
3●水頭症
 1.総説
 2.先天性水頭症
4●Dandy-Walker奇形
5●Chiari奇形
 1.概説
 2.ChiariT型奇形
 3.ChiariU型奇形
6●先天性脳梁欠損症
7●孔脳症
8●水無脳症
9●頭蓋縫合早期癒合症
 1.総説
 2.各早期癒合症
10●正中過剰腔
 1.総説
 2.透明中隔腔
 3.Verga腔
 4.脳室間腔
11●原発性頭蓋内くも膜嚢胞
 1.総説
 2.中頭蓋窩くも膜嚢胞
12●頭蓋頸椎移行部奇形
 1.総説
 2.頭蓋底陥入症
 3.扁平頭蓋底
 4.環軸脱臼
 5.歯突起形成異常
 6.Klippel-Feil症候群
 7.環椎後頭骨化
 8.環椎後小橋

第3章 バージョンアップ編

1●大脳皮質形成にみられる細胞移動と制御因子
 1.大脳皮質への細胞移動様式
 2.細胞移動を制御する因子
2●放射状グリア
3●Cajai-Retzius細胞
4●Bergmann膠細胞
5●橋中心髄鞘崩壊
6●成人のDandy-Walker奇形
7●後頭蓋窩背側正中部の嚢胞性病変
 1.総説
 2.巨大大槽
 3.Blake嚢嚢胞
8●外傷性脊髄空洞症
9●水頭症
 1.先天性中脳水道狭窄
 2.落陽現象
 3.脳室拡大の評価法
 4.側脳室後角拡大症
 5.脳形成不全性水頭症
 6.X連鎖性水頭症
 7.シャント術後の合併症
10●全前脳症
11●透明中隔―視神経形成異常
12●神経細胞移動障害
 1.総説
 2.裂脳症
 3.滑脳症
 4.異所性灰白質
 5.多小脳回症
 6.脳回肥大症(厚脳回症、巨大脳回症)
13●嚢胞性二分頭蓋
 1.頭蓋冠の嚢胞性二分頭蓋
 2.前頭蓋窩の嚢胞性二分頭蓋
 3.後頭下部の嚢胞性二分頭蓋―後頭蓋窩の嚢胞性二分頭蓋
 4.不全型頭瘤
14●Meningocele manque
15●仙骨部の奇形
 1.仙骨欠損症
 2.仙骨前部の腫瘤と腫瘍
16●頭蓋内くも膜嚢胞
 1.各部位のくも膜嚢胞
 2.板間内くも膜嚢胞
 3.成人のくも膜嚢胞
 4.高齢者のくも膜嚢胞
 5.嚢胞・腹腔シャント術後合併症
 6.くも膜嚢胞と慢性硬膜下血腫の合併
 7.くも膜嚢胞の自然消失
17●尖頭合指症
 1.Vogt症候群
 2.Saethre-Chotzen症候群
 3.Waardenburg症候群
 4.Pfeiffer症候群
18●頭蓋骨膜洞
19●原発性トルコ鞍空洞症候群
20●特発性正常圧水頭症
21●特発性低髄(液)圧症

第4章 便利編

 1●診断、評価法、および治療編
  1.正常児の頭囲の発達
  2.脳室・心房シャント
  3.シャント手術後、脳室側チューブの抜去困難な場合の対処法
 2●なまけもの編
  1.頭蓋骨
  2.中枢神経系の発生過程
 3.エレベーター運動
 4.脳の重量
 5.大脳新皮質の発生
 6.脳溝
 7.小脳の発生
 8.小脳の溝
 9.ヒトの脳の発生―まとめ―
10.脊髄円錐
11.終糸
12.髄鞘形成
13.主な中枢神経奇形の発生時期
14.出生前診断
15.新生児・乳児期の反射の出現時期と消失時期
16.乳児期の運動発達の正常月齢
17.解離性の感覚障害
18.玉ねぎの皮配列状感覚解離
19.交叉性片麻痺
20.下眼瞼向き垂直性眼振
21.頭蓋裂孔
22.側脳室後角拡大症
23.嚢胞性二分頭蓋
24.無脳症
25.嚢胞性二分脊椎
26.先天性皮膚洞
27.係留脊髄症候群
28.脊髄空洞症
29.割髄症
30.神経腸嚢胞
31.腰仙部脂肪腫
32.水頭症
33.Chiari奇形
34.Dandy-Walker奇形
35.巨大大槽
36.Blake嚢嚢胞
37.脳梁欠損症
38.正中過剰腔
39.くも膜嚢胞
40.全前脳症
41.透明中隔―視神経形成異常
42.孔脳症
43.水無脳症
44.裂脳
45.滑脳症
46.異所性灰白質
47.多小脳回症
48.脳回肥大症
49.頭蓋縫合早期癒合症
50.前仙骨髄膜瘤
51.仙尾部奇形腫
52.原発性トルコ鞍空洞症候群
53.特発性正常圧水頭症
54.特発性低髄圧症
55.頭蓋底陥入症
56.扁平頭蓋底
57.環軸脱臼
58.歯突起形成異常
59.Klippel-Feil症候群
60.環椎後頭骨化
61.環椎後小橋
62.頭蓋骨膜洞
3●耳よりな情報編

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