よくわかる 分娩とその管理 改訂第2版

著 者
著 清水  保(元 国立京都病院産婦人科部長)
発行年
2009年4月
分 類
￿  周産期医学(新生児学)
仕 様
B5判・110頁・118図・16表
定 価
(本体 2,800円+税)
ISBN
978-4-8159-1822-4
特 色 
 産科学を学ぶ研修医・医学生諸氏,さらに助産師を目指すの方々への指針書の改訂第2版.
 周産期医学の目覚ましい進歩と相反して分娩それ自体についての知識が乏しくなる傾向を痛感してきた著者が,臨床医として国立病院の付属助産婦学校で指導してきた経験と,長年蓄積してきた講義内容をもとに,挿図や必須のデータなどを多く取り入れて,分娩についての知識を初学者にも習得,理解できるよう出来るだけ分かりやすくまとめた教科書.緊急処置を必要とする合併疾患などへ十分対応できるよう記述されており,産科学を学ぶ医師・医学生諸氏,さらに助産師を目指す方々のための恰好のテキストとしておすすめする.

●初版序●
 長年にわたる臨床医としての勤務を定年退職するにあたり,過去30数年の期間を京都,大阪そして京都国立病院(現医療センターに改称)付属助産婦学校において担当してきた講義内容を取りまとめました.
 本書作成にあたり,学問の世界とかけ離れた一臨床医にして,身分不相応と幾度となくためらい中断もしてきました.また内容に関してご批判をいただく点も多々あるかと存じますが,ここに小冊子を永井書店のご尽力により,やっと世に送り出すことができました.
 これまでの道のりを振り返ると,医療機器の開発により種々の胎児情報が多く得られることにより,周産期医学の進歩は目覚ましいものがあります.
 しかし,反面多くの周産期医学の知識を習得する必要性から,また帝王切開率の増加なども反映して分娩自体に関する知識が乏しくなってきている傾向を年々感じてきました.
 この思いから産科学を学ぶ研修医,医学生そして助産師の人たちに少しでもお役に立てればとの動機から,本書を手がけることになりました.
 そしてできるだけわかりやすく理解していただくために多くの図を取り入れ,また極めてまれでありますが妊娠,分娩に関連し重篤な事態をきたし,緊急処置を必要とする合併疾患についても,平素から十分対応しえる知識を習得しておく必要を痛感しており,これらについても記述しました.
 もとより浅学非才の身にして,多くの先人達の著書を参考引用させていただきましたことを本紙面にて深く感謝申し上げます.
 また約40年の期間において産婦人科医として私を支えてくださいました,各施設の医療関係の皆様方に心より厚く御礼申し上げます.
 2004年10月吉日 古希を迎えて 清水 保


●改訂序●
 本書が発行されて4年が経過しました.
 この間,長年の課題として積み残されてきた妊娠中毒症の名称をはじめ定義などが諸外国なみに妊娠高血圧症候群(pregnancy induced hypertension:PIH)に変更されました.
 これを機会に,主として妊娠高血圧症候群に改訂を加えました.
 この機会を与えていただいた関係諸氏のご好意,さらに本書にご支援下さいました読者の皆様に厚く御礼申し上げます.
 2009年3月吉日 清水 保

■ 主要目次

1 産   道
 1.骨産道 2.軟産道

2 陣   痛
 1.陣痛の種類
 2.陣痛の性状
 3.子宮筋の走行
 4.陣痛の捉え方と持続時間
 5.子宮収縮の発来と伝播
 6.子宮収縮の種類
 7.子宮収縮,陣痛の機能

3 胎   児
 1.子宮内の胎児の位置関係
 2.児頭の名称と諸径線
 3.分娩時子宮内胎児姿勢の変化
 4.第1回旋と軸進入
 5.第2回旋
 6.第3回旋
 7.第4回旋
 正常分娩経過中の胎勢・胎向変化のまとめ

4 反屈位(第1回旋異常)分娩
 1.頭頂位 2.前頭位
 3.額 位 4.顔面位

5 第2回旋異常分娩
 1.後方後頭位 2.高在縦定位
 3.低在横定位

6 軸進入の異常
 1.前頭頂骨進入と定位
 2.後頭頂骨進入と定位

7 骨 盤 位
 1.頻 度
 2.骨盤位の種類とその頻度
 3.骨盤位の成立
 4.骨盤位の診断
 5.骨盤位と頭位分娩との大きな相違点
 6.骨盤位分娩の取り扱い方
 7.骨盤位分娩における児への影響
 8.経腟か帝切分娩か

8 分娩進行の捉え方と記録
 1.分娩経過表
 2.フリードマン曲線
3.先進部下降度の表示
 4.Bishop  score
 5.骨盤内における位置の表示
 6.骨盤腔内の児頭位置

9 分娩監視装置
 1.胎児心拍数図の基本事項
 2.一過性頻脈 3.一過性徐脈
 4.正弦波様波型
 5.頻 脈 6.徐 脈

10 妊娠高血圧症候群
 1.名称・定義 2.病型分類
 3.病 因 4.子 癇
 5.治 療 6.ターミネーション適応基準

11 常位胎盤早期剥離
 1.病 因  2.病 態
 3.発症頻度 4.診 断
 5.治 療

12 HELLP症候群
 1.病 態  2.症 状
 3.検査所見 4.治 療

13 羊水栓塞症
 1.原 因 2.頻 度
 3.病 態 4.症状,経過
 5.診 断 6.予 後
 7.治 療

14 DIC理解のための止血凝固機構
 1.凝固因子
 2.凝固因子による凝固機序

15 DIC理解のための線溶現象
 1.繊維素溶解現象
 2.生理的凝固抑制機構

16 産科DIC
 1.原因と基礎疾患
 2.病 態
 3.産科DICの診断
 4.産科DICの治療

17 胎児well being検査
 1.羊水量からの胎児情報
 2.NST(non stress test)
 3.biophysical profile score(BPS)
 4.胎動カウント法
 5.超音波ドップラー法による評価
 6.子宮内胎児発育遅延 (IUGR)

18 産科手術
 1.会陰切開 2.吸引分娩
 3.帝王切開 4.骨盤位牽引術
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