プレホスピタルMOOK 8
消防組織における生涯教育と医学的知識


著 者
監修
 石原  晋(公立邑智病院 院長)
 益子 邦洋(日本医科大学 教授)
編集
 田中 秀治(国士舘大学大学院スポーツシステム研究科教授)
発行年
2009年7月
分 類
救命・救急医学
仕 様
A4判・154頁・52図・写真60点・60表
定 価
(本体 3,800円+税)
ISBN
978-4-8159-1845-3
特 色 
 救急医療体制、救急救命士について極めて重要な知識を集約したシリーズシリーズ第8弾.
  救急医師の立場として、救急救命士の教育に携わってきた編者が,消防教育における最高峰である救急救命士教育と,そこに至るまでの消防機関での教育を解説する.地域,関与する医師,消防機関などによって異なっている消防教育の現状を紹介し,消防機関の中での唯一の医療従事者であり,かつ,あらゆる職種の医学教育者である救急救命士の今日的姿を浮き彫りにした.
  将来必要となる救急救命処置の拡大をみすえ,どうすれば「病院前救急医療の教育・医学的な質の担保」を確実に日本の消防教育,救急救命士教育で実施できるのかをさまざまな角度から考察する.ぜひ本書をお手に取って日本の消防教育の在り方を知っていただきたい.

●序   文●

序文

 今回は消防機関における救急救命教育について、「プレホスピタルMOOKシリーズ8」に取りあげて頂く機会を頂き、監修の先生方のご英断を感謝します。
  「プレホスピタルMOOK」シリーズはわが国における救急医療体制、救急救命士について極めて重要な知識を集約したシリーズであり、今日的な内容をその道の第一人者に執筆して頂く企画です。
  今まで救急医師の立場として、救急救命士の教育に20年余、関与させて頂きましたが、極めて幅広く行われていることが理解できるようになってきました。救急救命士教育は消防教育における最高峰であり、実はそこに至るまでの消防機関による教育について今まで取りあげられる機会は少なかったと思います。今回、初任課程、救急課程、救助隊、救急隊としての継続教育、消防大学での幹部教育、生涯教育など、地域、関与する医師、関与している消防機関などによって異なることをもっと多くの方に認識頂きたいと考えてこの特集を編集しました。
  本シリーズでは、消防における救急に関係する教育を、1つの軸でまとめあげることを試みています。特に現状の問題点の抽出という極めて難しいこともそれぞれの立場を考えずに注文させて頂きました。この結果、多くの消防機関の救急教育に携わる救急救命士の姿が浮かび上がってきました。救急救命士は消防機関の中での唯一の医療従事者であり、かつ、あらゆる職種の医学教育者なのです。
  日本において病院前救急医療体制において救命率を改善するためには単に救急救命処置を拡大するだけではなく、@一般人による質の高い一次救命処置と早期除細動を確立するとともに、A基礎となる消防隊員や救急隊員への教育の質の担保、B救急救命士における質の高い教育・技術トレーニング・継続教育・そしてリーダーシップ、が必要です。
  「病院前救急医療の教育・医学的な質の担保」を確実に日本の消防教育、また、救急救命士教育で実施してからでないと、将来必要となる救急救命処置を拡大できません。
  そして将来、救急救命士を含む救急隊が、自らの手によって医学的知識と技術の質を保てるようになったときに、非心肺停止機能傷病者に対し、救急救命士の特定行為を拡大するべきであると考えています。
  これらの要素を加えて作成された「プレホスピタルMOOKシリーズ8」を是非手に取り、ご覧頂ければ幸いです。
  平成21年7月吉日
  田中秀治

■ 主要目次

 目 次

I. 教育の実態と職種別の基本的役割

1 救急救命士の教育
  1.再教育の項目 
  2.救急救命士の医学的教育環境
  3.再教育の時間
  4.再教育の具体的項目
  5.再教育の方法

2 救急隊員(救急救命士を除く)の教育
  1.一般救急隊員の養成教育と到達目標
  2.一般救急隊員の教育上の今後の課題 
  3.一般救急隊員と生涯教育

3 救助隊員の教育
  1.救助隊の現況(平成18年4月施行) 
  2.救助隊員の教育と到達目標
  3.救助活動の現況
  4.救助隊員教育の今後の課題
  5.彼を知り己を知れば、百戦して危うからず
  6.二の矢を継ぐ(選択肢を増やす) 
  7.PA/RA連携
  8.救助隊員の生涯教育
  9.米国の検証システム
  10.メディカルディレクター、ニューヨーク市消防局の場合
  11.メディカルオフィサー 
  12.まとめ

4 消防職員の救急教育の現状
  1.消防学校での救急教育
  2.消防本部での救急教育
  3.メディカルコントロール体制下での救急教育
  4.その他の救急教育
  5.消防職員の救急教育の今後の課題

II. 機関ごとの救急教育の現状とその役割

1 県消防学校の役割
  1.消防学校における教育と到達目標
  2.救急隊の編成の基準
  3.消防学校における救急科教育の概要

2 消防大学校の役割 総務省消防庁消防大学校教務部
  1.消防大学校の行う教育の現況
  2.消防大学校における救急科教育と到達目標
  3.救急業務の指導者として必要な教育

3 救急救命研修所の役割
  1.救急救命研修所の誕生
  2.入学資格
  3.研修規模
  4.研修体制
  5.研修の特徴

4 救急救命士養成施設の役割
  1.救急救命士養成施設(専門学校)の現状
  2.専門学校における救急救命士養成教育と到達目標
  3.救急救命士養成施設の今後の課題

5 救急救命士養成施設(大学・大学院)の役割
  1.救急救命士養成施設(大学)の教育と到達目標
  2.大学院の役割

III・ 学ぶべき医学的知識と実技スキル

1 救急隊員に必要な知識と技術
  1.救急隊員の現状分析
  2.必要な医学的知識と技術 
  3.救急現場学
  4.ティーチングスキル
  5.会話学(バーバルコミュニケーションスキル)

2 救助隊員に必要な知識と技術
  1.救助隊の現状分析
  2.救助体制における課題・問題点
  3.救助隊等の教育訓練体制

3 消防隊員に必要な知識と技術
  1.消防隊員による救急現場活動の現況
  2.消防隊員に必要な救急出動における基本的知識
  3.消防隊による救急現場での活動内容
  4.消防隊員に必要な生涯教育

4 救急救命士の再教育の在り方 畑中哲生
  1.救急救命士の再教育の現状
  2.再教育の目的
  3.何を再教育すべきか
  4.再教育の効果検証

5 薬剤投与気管挿管追加講習教育の在り方
  1.気管挿管追加講習
  2.薬剤投与追加講習

IV. 今後の展望

1 救急救命士の近未来像
  1.日本における救急隊員の役割と救急救命士による特定行為
  2.ドクターカー・ヘリにおける病院前救急救命治療の件数
  3.国内外のEMT-Paramedicにおける養成時間と病院実習時間
  4.まとめ

2 救急要請の症状別の頻度と今後の搬送・処置判断
  1 救急要請の症状別の頻度
   1.搬送人員の状況
   2.年齢別の事故種別・傷病程度
   3.救急需要増加の現状
   4.発症形態(主訴)別搬送人員などの推移
   5.各年齢層別発症形態別搬送人員
   6.まとめ

 2 今後の搬送・処置判断
   1.現場到着時間の短縮
   2.現場到着時間の適切な観察・処置
   3.救急搬送の現状と今後  


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