教材による 認知リハビリテーション その評価と訓練法


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著 者
編集
 種村 純(川崎医療福祉大学医療技術学部感覚矯正学科 教授)
 椿原 彰夫(川崎医科大学リハビリテーション医学 教授)
発行年
2009年11月
分 類
脳神経科学・神経内科学/リハビリテーション医学
仕 様
B5判・300頁・図・10表
定 価
(本体 5,000円+税)
ISBN
978-4-8159-1851-4
特 色 
 本書は,高次脳機能障害支援普及事業によって新たに認知リハビリテーションを展開しようとしている岡山県で,著者らを中心としたワーキンググループと関連施設との協力によって開発した評価と訓練方法,その成果をまとめた教材集です.
 高次脳機能障害者それぞれの障害の性質を十分に分析し,各障害に対応した訓練法を適用するために、訓練法の意義と違いをよく理解し,症例に応じた訓練法を適用するか検討するために本書を利用されることをお薦めいたします.

本書の特徴
●記憶・注意・遂行機能・社会的行動・コミュニケーション障害を取り上げ障害の性質を解説!
●各高次脳機能障害の評価・検査・訓練の教材として600以上の課題を収録しています!
●課題はCD-ROMにデータとして収録されておりますのですぐに活用できます!


●序   文●

 高次脳機能障害のうち、広範な病巣によって出現する記憶、注意、遂行機能および社会的行動の障害についての認知リハビリテーションは失語、半側無視などに比べ普及が遅れています。現在、高次脳機能障害支援普及事業が進められており、全国のリハビリテーション関連施設で、新たに認知リハビリテーションを展開しようとしているところが多いと思われます。岡山県においても、まず評価と訓練の方法を県下の関連施設で協力して開発することから始め、その成果を今回出版させて頂くことになりました。検査法と教材はまず必要になるものであり、それらを求める声も多く聞きます。セラピスト個人が作成し得る教材の量には限りがあるので、教材集を利用することになります。しかし、個々の高次脳機能障害者における障害の性質を十分に分析せず、ただ検査の成績に応じて難易度に合わせた課題を提供するのは適切ではありません。そのような考えから、われわれのワーキンググループは症例検討会を積み重ねているのですが、本教材集を利用される読者の皆様にも個々の訓練法を適用するにあたって、それぞれの訓練法の意義をよくご検討頂きたいと思い、十分とはいえませんが個々の訓練法の解説を載せました。本書を作成するにあたって高次脳機能支援モデル事業の関係の先生方に大変お世話になりました。全国のモデル事業を推進してこられた国立リハビリテーションセンターの多くの先生方のご指導を頂きました。岡山県保健福祉部障害福祉課の皆様には一貫してご指導、ご援助頂きました。また岡山県モデル事業整備推進委員会の先生方には、われわれがこのような作業を行う機会を与えて頂きました。また岡山脳外傷友の会をはじめとして多くの高次脳機能障害を有する当事者、ご家族の方々の多大なるご協力を得ました。これら多くの方々のご支援なくして本書はあり得ませんでした。ここに記して感謝申し上げます。

平成21年11月
種村 純・椿原彰夫

■ 主要目次

● 目 次 ●

1 高次脳機能障害とは
 1.高次脳機能障害に対する社会的認知の拡がり
 2.治療ガイドラインにおける認知リハビリテーションの評価
 3.高次脳機能障害のリハビリテーションの基本的な考え方

2 記憶の障害
 1.健忘症状の臨床的評価法
 2.記憶障害例における臨床的関連要因
 3.記憶のテスト
   1・言語性検査
   2・視覚性検査
   3・触覚記憶テスト:触覚遂行テスト
   4・記憶尺度
   5・遂行記憶テスト
 4.記憶障害のリハビリテーション
   1・記憶訓練の考え方
   2・記憶の方略
   3・展望的記憶訓練
   4・領域特殊的知識
   5・現実見当識訓練
   6・生活史の再編成
   7・ 記憶の補助手段
 5.記憶障害教材
   教材1 単語を覚える(視覚イメージ法) 
   教材2 単語を覚える(言語的方略) 
   教材3 文章を覚える(言語的方略) 
   教材4 文章を覚える
   教材5 再認(単語、絵)
   教材6 視覚性記憶課題
   教材7 人の名前を覚える(視覚イメージ法)
   教材8 展望的記憶訓練
   教材9 過去の一般的出来事を答える
   教材10 人生の歴史を答える
   教材11 ことわざ、四字熟語の理解
   教材12 メモの活用
   教材13 日記の様式

3 注意の障害
 1.注意障害の種類
   1・覚醒度の障害
   2・注意の持続性の障害
   3・注意の選択性の障害
   4・注意の分配の障害
   5・処理速度の障害
 2.注意障害の評価法
   1・覚醒度の検査
   2・注意の選択性の検査
   3・注意の分配に関する検査
   4・注意の持続性の検査
   5・注意検査バッテリー
   6・評定法、質問紙法
   7・構造的面接、観察
   8・注意障害の社会生活への影響
 3.注意障害の訓練
   1・注意プロセス訓練
   2・自己管理の方略
   3・環境からの支援
 4.注意障害の訓練教材
   教材1 数字と符号の対応 
   教材2-1 選択課題(平仮名、片仮名、数字、記号、アルファベット、図形
   教材2-2 数字と記号の抹消
   教材3 図形の選択
   教材4 条件に従う
   教材5 順に結ぶ(数字、平仮名、数字と平仮名) 
   教材6 計算
   教材7 計算2 
   教材8 偶数または奇数の抹消
   教材9 足し算または引き算を行う
   教材10 条件で読む

4 遂行機能障害
 1.遂行機能の評価
 2.遂行機能障害の治療
   1・遂行システムの直接訓練
   2・課題特異的な手段の教育
   3・言語的媒介による行動の調整:自己教示法
   4・問題解決訓練
   5・行動的方法
   6・環境の修正 7・グループセッション
 3.遂行機能障害教材
   教材1 数字パズル 
   教材2 トランプの分類
   教材3 積み木課題
   教材4 箱づくり課題
   教材5 計画課題
   教材6-1目的別に調べる
   教材6-2 遂行機能の応用課題
   教材7 迷路課題
   教材8 順序づけ
   教材9 文章を読む
   教材10 流暢性課題

5 社会的行動障害
 1.通過症候群
 2.前頭葉症候群
 3.発動性の障害
 4.攻撃性の亢進
 5.脳損傷後のうつ病
 6.右半球損傷者の精神的問題">
 7.心理社会的支援

7 コミュニケーションの障害
 1.外傷性脳損傷後のコミュニケーション障害の性質
 2.右半球損傷後のコミュニケーション障害
 3.コミュニケーション障害の評価
   1・コミュニケーション行動を分析する基本的観点
   2・物語の説明に関する談話分析
   3・会話の能力に関する語用論的分析
   4・臨床的評価法
   5・社会的スキル
   6・面接
 4.コミュニケーション障害に対する訓練法
   1・談話機能
   2・生活技能訓練
 5.コミュニケーション障害教材
   教材1 まんが説明
   教材2 生活技術の訓練法について

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