ここが知りたい がん診療Q&A
これからがん診療に携わる人のために


著 者
監修: 堀 正二(大阪府立成人病センター 総長)
大阪府立成人病センター 編
発行年
2009年10月
分 類
癌・腫瘍一般
仕 様
A5判・174頁・65図・21表
定 価
(本体 2,800円+税)
ISBN
978-4-8159-1849-1
特 色 
 次世代のがん医療を担う「実地診療力」を身につけた医療従事者を幅広く育成することをコンセプトに, 専門分化した医師には専門領域以外の分野を, そして初心者の方々にはがん診療全体の現状を, 分かりやすいQ&A方式で容易に理解できるよう心がけたがん診療の入門書.
  癌医療では所属領域を越えて,薬剤師・看護師などのコメディカルを含めたチームが緊密に連携し,全人的診療にあたることが不可欠である。そのためにはチーム医療に参画する方々が専門外領域についても一通りの基本知識を兼ね備えていなければならない.医師・コメディカルの「診療力」や「コミュニケーション力」を上達させ,今後の先進医療・チーム医療向上の糧として必ず役に立つ良書である.

●序   文●

 昭和56年以降、がんは日本人の死因の第1位を占めてきました。現在では、年間60万人の国民ががんに罹り、32万人ががんで死亡し、しかも新規がん患者数は増加の一途を辿っています。その対策として、平成19年4月には「がん対策基本法」が施行されました。そこでは、1)全国どこの地域の患者さんに対しても、科学的に証明された質の高いがん医療を提供し、治癒可能な患者さんを確実に救命する、2)救命できない場合には、苦痛の無い、QOL の高い余生を支援する、3)先進的ながん医療を創造・提供する、などの高い目標が掲げられています。すなわち、「がん患者さんには、一人でも多く元気に社会-復帰していただき、わが国の繁栄に貢献していただきたい」という期待が寄せられています。
  ところで、上記目標を達成するうえで絶対的に不足しているのが「実地診療力」ではないでしょうか。たとえば、現在がん診療に携わっている医師の大多数は専門分化した1領域の specialist であり、専門外の知識をすべて網羅している人は希有です。誰にも向き・不向きがあるのは当たり前でしょう。また、がん診療の最前線に踏み止まっている医師数も近年減少傾向にあります。これらの解決策として、specialist 同士が所属領域を越えて緊密に連携し、薬剤師・看護師などのコメディカルを含めたチームでもって、全人的診療にあたることが不可欠です。Cancer board やチームラウンドは、医師・コメディカルの「診療力」や「コミュニケーション力」を上達させるうえでも、きわめて重要です。ただし、チーム医療に参画するためには、専門外領域についても一通りの基本知識を兼ね備えていなければなりません。
  このような背景から、本書『ここが知りたい がん診療 Q&A−これからがん診療に携わる人のために−』の発刊を企画しました。次世代のがん医療を担っていただける医療従事者を幅広く育成することをコンセプトとして、専門外や初心者の方々に対しても分かりやすい内容となるよう心がけました。また、現時点でのがん臨床が抱える未解決問題−限界なども感じとっていただければ、今後先進医療を新規開発していくうえでお役にたてるものと期待しています。
  最後に、多忙な診療の合間を縫って執筆の労を執っていただいた大阪府立成人病センタースタッフ諸氏には、心から敬意を表します。また、構成から最終校正に至るまでの諸過程でご尽力をいただいた飯石浩康内科系診療局長、教育・研修センター委員諸氏に対して厚くお礼申し上げます。

 平成21年10月

大阪府立成人病センター
病院長・教育研修センター長 石 川  治
総 長 堀  正 二

■ 主要目次

● 目 次 ●

総論1   ● がん−基礎知識
   2   ● われわれが罹りやすいがんとは? 将来予想
各論1‐1 ● 食道がん
   1‐2 ● 胃 が ん
   1‐3 ● 大腸がん
   1‐4 ● 肝臓がん
   1‐5 ● 胆道がん
   1‐6 ● 膵臓がん
   1‐7 ● 肺 が ん
   1‐8 ● 乳 が ん
   1‐9 ● 甲状腺がん
   1‐10● 脳 腫 瘍
   1‐11● 婦人科がん
   1‐12● 泌尿器がん
   1‐13● 骨軟部腫瘍
   1‐14● 頭頸部がん
   1‐15● 白血病・骨髄移植
   1‐16● 悪性リンパ腫・多発性骨髄腫
   2   ● 放射線治療
   3   ● 分子標的治療薬
   4   ● 抗がん剤の有害事象(副作用)とその対策
   5   ● 緩和・精神ケアとがん看護
   6   ● 地域連携クリティカルパス
   7   ● がん相談支援センターについて

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