脳神経外科バイブルVI
脊椎・脊髄疾患を究める



 
著 者
著:窪田  惺(立川介護老人保健施設 わかば・前埼玉医科大学 助教授)
発行年
2010年4月
分 類
脳神経外科学
仕 様
B5判・662頁・61図・写真50点・31表
定 価
(本体 11,000円+税)
ISBN
978-4-8159-1859-0
特 色 
 読みやすく, わかりやすい参考書をモットーとした脳神経外科バイブルシリーズ最新刊. 脳神経外科医が経験することは少ないが,守備範囲でもある脊椎・脊髄疾患を取り上げる.頭蓋内疾患と同様,緻密な神経学的所見をとることが重要である本疾患を深く掘り下げ,かつわかりやすく解説する.
 第1章:脊椎・脊髄疾患を理解するうえで必要な解剖と機能,および症候群.
 第2章基本編:基本的事項や実地臨床でよく遭遇する疾患を中心に記載.
 第3章:第2章で取りあげた疾患の一部をさらに深く掘り下げて解説.経験することの比較的少ない疾患についても記載する.
 第4章:ベッドサイドで役立つ各疾患の診断法,評価法や治療判定基準,第1章〜第3章の‘まとめ’である「なまけもの編」,また,試験勉強に役立つ「耳よりな情報編」が掲載する.
 既刊の脳神経外科バイブルシリーズで取りあげた疾患や症候群のうち,必要な事項については再度取りあげ掲載し,理解の一助となるよう配慮している.


●序   文●

  脳神経外科バイブルシリーズの第6弾は、「脊椎・脊髄疾患」です。本邦では、脊椎・脊髄疾患は伝統的に整形外科医が扱ってきましたので、脳神経外科医が経験することは少ないのですが、これらの疾患も脳神経外科医の守備範囲です。
 脊椎・脊髄疾患の診断には、頭蓋内疾患と同様、緻密な神経学的所見をとることが重要であることは言うまでもありませんが、本書がその一助となれば幸いです。
 本書の構成および特徴は、既刊の脳神経外科バイブルシリーズ㈵〜㈸と基本的には変わらず、以下のようになっています。
・第1章は、脊椎・脊髄疾患を理解するうえで必要な解剖と機能、および症候群が記載してあります。
・第2章は基本編ともいうべき部門で、基本的事項や実地臨床でよく遭遇する疾患を中心に記載してあります。
・第3章は、第2章で取りあげた疾患の一部については、さらに深く掘り下げて記載するとともに、経験することの比較的少ない疾患についても記載してあります。
・第4章は、読者の方々がベッドサイドや試験勉強の際に役立つようにとの配慮から設けました。すなわち、ベッドサイドで役立つための各疾患の診断法、評価法や治療判定基準、第1章〜第3章の‘まとめ’である「なまけもの編」、また、試験勉強に役立つ「耳よりな情報編」が掲載してあります。
・本書のところどころに、「快適空間」として余白を設けました。読者の方々のメモ帳としてお使いください。
・既刊の脳神経外科バイブルシリーズで取りあげた疾患や症候群のうち、必要な事項については、再度取りあげ掲載してあります。その中で、後頭骨や環・軸椎の発生に関してはまだまだ不明な点もあり、既刊の「奇形疾患を究める」で掲載した内容と一部異なっています。今後さらに文献を調べ、正確さを期したいと思っています。
・用語については、「日本脳神経外科学会用語委員会(編):脳神経外科用語集改訂第2版(南江堂,2006)に準じて記載しましたが、「日本脊椎脊髄病学会(編):脊椎脊髄病用語事典(南江堂,2005)」も参考にしました。
 本書の執筆にあたり、多くの資料に目を通し、間違いのないように記載したつもりですが、読者の方々が読まれて異論のある箇所があるかも知れません。その際には、是非、編集室の方にご意見をおよせ頂ければ幸いです。そして、皆様方とともに、よりよい参考書にしていきたいと思っています。また、この機会に、頸髄症、後縦靱帯骨化症、および頸椎・頸髄損傷の診断や治療法を選択する際のガイドブックとして、「頸椎症性脊髄症診療ガイドライン(南江堂)」や「頸椎後縦靱帯骨化症診療ガイドライン(南江堂)」、さらには「頸椎・頸髄損傷に対する急性期治療のガイドライン(メジカルビュー社)」を一読されることをお勧めします。
 なお、本書の病理学的所見については、兵庫医科大学名誉教授窪田彬博士(現:神戸百年記念病院臨床検査部長)に有意義な助言を頂きました。この紙面をお借りして感謝の意を捧げます。
 本書の作成にあたり、文献の収集をお願いした日本医師会医学図書館の諸氏に御礼申し上げます。

2010年4月
 窪田 惺

■ 主要目次

第1章 脊椎・脊髄疾患へのプロローグ

1 脊椎・脊髄疾患に必要な解剖と機能
1.脊椎(第3頸椎以下)の発生
2.大孔周囲の後頭骨の発生
3.環椎および軸椎の発生
4.中枢神経系の発生
5.脊髄の髄鞘形成
6.脊髄神経の発生
7.脊髄髄膜の発生
8.脊椎の成長
9.椎骨(脊椎)の構成
10.椎間板
11.脊柱の靱帯
12.脊柱の関節
13.脊髄および脊髄髄膜の構造
14.脊髄神経と神経叢の構造
15.皮神経
16.脊髄の血管
17.脊髄血流

2 脊椎・脊髄疾患に関連する症候群・徴候
1.馬尾症候群
2.Barr【e´】錐体路徴候
3.Barr【e´】-Li【e´】ou症候群
4.Beevor徴候
5.Brown-S【e´】quard症候群
6.Cobb症候群
7.Down症候群
8.Foix-Alajouanine症候群
9.Froin徴候
10.Froment徴候
11.Horner症候群
12.Hoover徴候
13.頸肩腕症候群
14.Klippel-Feil症候群
15.絞扼症候群
16.後脊髄動脈症候群
17.Las【e`】gue徴候
18.Lhermitte徴候
19.Mingazzini試験
20.Pancoast症候群
21.Phalen徴候
22.Powers症候群
23.Rendu-Osler-Weber症候群
24.Romberg徴候
25.鎖骨下動脈盗血症候群
26.脊髄円錐症候群
27.脊髄偽性局在徴候
28.仙髄回避
29.大孔症候群(大後頭孔症候群)
30.Tinel徴候
31.von Hippel-Lindau症候群
32.Wallenberg症候群
33.前脊髄動脈症候群


第2章 脊椎・脊髄疾患へズームイン

●エントランス
1.徒手筋力テストによる5段階評価
2.深部腱反射と神経根
3.皮膚反射
4.神経根と筋支配
5.皮膚分節(皮節)
6.誘発試験
7.脊椎・脊髄病変の種類
8.症状
9.脊椎・脊髄病変による症状
10.脊髄病変の部位診断
11.脊髄損傷の機能的評価法
12.神経放射線学的検査
13.治療
14.治療成績評価法
15.末梢神経障害

1 頸部脊椎症
2 椎間板ヘルニア
3 脊柱靱帯骨化症・石灰化症
4 強直性脊椎炎
5 脊柱管狭窄症
6 脊髄空洞症
7 脊髄動静脈奇形
8 脊椎腫瘍
9 脊髄腫瘍
10 転移性脊髄腫瘍
11 脊髄髄膜嚢胞
12 外傷性脊椎・脊髄損傷
13 外傷性椎間板ヘルニア
14 むち打ち損傷関連障害


第3章 バージョンアップ編

1 洞脊椎神経
2 びまん性特発性骨肥厚症
3 ボウ・ハンター卒中
4 椎骨・脳底動脈循環不全症
5 動静脈奇形/動静脈瘻
6 脊髄梗塞
7 特発性脊髄硬膜外血腫
8 特発性脊髄硬膜下血腫
9 砂時計状(亜鈴状)脊髄腫瘍
10 Holocord tumor
11 脊髄腫瘍に伴う脊髄空洞症
12 硬膜外髄膜腫
13 脊髄脂肪腫
14 特殊なタイプの上衣腫
15 脊髄髄内に発生する神経鞘腫
16 膠芽腫
17 脊柱管内原発性悪性リンパ腫
18 脊髄硬膜外原発性多発性骨髄腫
19 原発性未分化神経外胚葉性腫瘍
20 馬尾領域の腫瘍
21 移動性脊髄腫瘍
22 小児の脊髄腫瘍
23 脊髄髄内結核腫
24 特発性脊髄ヘルニア
25 外傷性脊椎・脊髄損傷
26 脊椎の炎症性疾患
27 脊髄の放射線障害


第4章 便 利 編

I.診断、評価法、および治療編
 
1.徒手筋力テストによる5段階評価法(MMT)
2.深部腱反射と神経根
3.皮膚反射
4.神経根と筋支配
5.皮膚分節(皮節)
6.脊髄損傷時における脊髄髄節の高位診断法
7.むち打ち損傷関連障害の重症度分類(ケベック分類)
8.脊髄損傷の機能的評価法
9.環椎・後頭関節脱臼を診断するための頸椎エックス線単純(断層)撮影上の基準線
10.環・軸椎関節面のLateral Offset(外側変位)の測定法
11.環椎・歯突起間距離(ADI)と環椎および軸椎レベルの矢状径の測定法
12.成人の脊椎前腔の測定法 503
13.頸椎エックス線単純撮影側面像での前後径の測定法
14.磁気共鳴画像(MRI)
15.治療成績評価法

II.なまけもの編 

1.環椎および軸椎の形成
2.脊椎(第3頸椎以下)の形成
3.脊索の形成
4.脊髄の発生
5.脊髄の髄鞘形成
6.椎骨(脊椎)の構成
7.椎間板
8.脊柱の靱帯
9.鉤椎関節(Luschka関節)
10.脊髄
11.脊髄髄膜の構造
12.脊髄神経
13.脊髄神経の中枢性髄鞘と髄鞘移行部
14.神経根進入部と出口部
15.脊髄神経の栄養血管
16.脊髄神経叢
17.皮神経
18.脊髄の血管
19.脊髄血流
20.Barr【e´】-Li【e´】ou症候群
21.Brown-S【e´】quard症候群
22.肘部管症候群
23.尺骨管症候群
24.手根管症候群
25.胸郭出口症候群
26.足根管症候群
27.脊髄円錐症候群と馬尾症候群
28.頸部脊椎症
29.頸椎症性筋萎縮症
30.頸椎椎間板ヘルニア
31.腰椎椎間板ヘルニア
32.前縦靱帯骨化症(OALL)
33.後縦靱帯骨化症(OPLL)
34.黄色靱帯骨化症(OYL)
35.黄色靱帯石灰化症
36.強直性脊椎炎
37.発生学的頸部脊柱管狭窄症
38.腰部脊柱管狭窄症
39.脊髄空洞症
40.脊髄硬膜動静脈瘻
41.脊髄周囲性動静脈瘻
42.脊髄髄内動静脈奇形
43.頭蓋頸椎移行部硬膜動静脈瘻
44.特発性椎骨動静脈瘻
45.ボウ・ハンター卒中
46.原発性脊椎腫瘍
47.転移性脊椎腫瘍
48.脊髄硬膜外海綿状血管腫
49.脊髄硬膜内髄外腫瘍
50.脊髄髄内腫瘍
51.脊髄脂肪腫
52.粘液乳頭状上衣腫
53.Subcutaneous sacrococcygeal myxopapillary ependymoma
54.伸長細胞性上衣腫
55.脊柱管内原発性悪性リンパ腫
56.脊髄硬膜外原発性多発性骨髄腫
57.原発性未分化神経外胚葉性腫瘍(PNET)
58.馬尾領域の腫瘍
59.移動性脊髄腫瘍
60.小児の脊髄腫瘍
61.転移性脊髄腫瘍
62.脊髄髄内結核腫
63.脊髄硬膜外髄膜【嚢】胞
64.脊髄くも膜【嚢】胞
65.後頭顆骨折
66.環椎・後頭関節脱臼
67.椎間関節嵌合
68.Jefferson骨折
69.環椎側塊骨折
70.環椎前弓骨折
71.環椎後弓骨折
72.環軸関節脱臼
73.歯突起骨折
74.Hangman骨折
75.軸椎椎体骨折
76.中・下位頸椎損傷
77.胸・腰椎損傷
78.脊髄損傷
79.非骨傷性頸髄損傷
80.小児の外傷性脊椎・脊髄損傷
81.特発性脊髄硬膜外血腫
82.特発性脊髄硬膜下血腫
83.外傷性脊柱管内血腫
84.外傷性脊髄空洞症
85.外傷性椎間板ヘルニア
86.スポーツによる脊椎・脊髄損傷
87.むち打ち損傷関連障害
88.特発性脊髄ヘルニア
89.化膿性脊椎炎
90.結核性脊椎炎
91.脊柱管内膿瘍
92.脊髄の放射線障害
93.神経因性膀胱
94.複合性局所疼痛症候群

III.耳よりな情報編

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