基礎から学ぶ
医師事務作業補助者研修テキスト 改訂第2版


著 者
著:中村 雅彦
(松本市立波田総合病院副院長)
発行年
2010年5月
分 類
医学一般・病院管理学
仕 様
B5判・200頁・48図・39表
定 価
改訂第4版があります
ISBN
978-4-8159-1861-3
特 色 
 平成22年度の診療報酬の改定により,「医師事務作業補助者」に対する評価の引き上げが行われた.本書は,全国でもいち早く医療の情報化に取り組んできた著者とその病院での経験を基に,1コマを1時間として,医療事務の役割と仕組みから,医学一般の知識,個人情報保護やリスクマネジメントまで合計32コマの研修カリキュラムとなるように作成されている.研修テキストとして,また医師事務作業補助者への仕事の依頼範囲や教育方法についての基本的な知識を理解するため医療機関でぜひ採用していただきたい一冊.

●序   文●

 ■改訂第2版出版にあたって■
 医師事務作業補助者の養成に少しでもお役に立てればと思い、浅学を省みず、昨年の3月に初版を上梓させて頂きました。ご存知のように厚生労働省の指針では、32時間の医学に関する基礎講習中に、(1) 医師法、医療法、薬事法、健康保険法などの関連法規の概要、(2) 個人情報の保護に関する事項、(3) 医療機関で提供される一般的な医療内容、および配置部門における医療内容や用語、(4) 診療録などの記載・管理、および代筆・代行入力、(5) 電子カルテシステム(オーダリングシステムを含む)に関する事項、について履修するよう求められています。また、「講習には診療報酬請求、ワープロ技術、単なる接遇などの講習についての時間は含めてはならない」ともされています。本書で提案している32時間のカリキュラムは、指針に沿った、最も標準的なものと考えています。チーム医療を担う一員として、医療機関に勤務するにあたり、習得しておきたい知識を提示させて頂きました。また、医師、看護師ばかりではなく、コメディカルとの理解を深めるため、薬剤科、検査科、放射線科、リハビリテーション科、栄養科の5部門についても一単元ずつ採用致しました。各部門長など、院内職員が講師を務めることにより、「他の職員からの認知度も高まり、日常業務の中で連携をとりやすくなった」とのご意見も頂きました。今回、ご好評を頂き改訂版を出版できることになりましたのは、望外の喜びであります。
 本書では、基本的な電子カルテやオーダリングシステムへの入力、書類作成など業務の概要を解説していますが、詳細は各医療機関のIT化の進捗度に応じて、引き続き6ヵ月の職場内研修で履修して頂きたいと思います。それぞれの医療機関の実情に合わせて、「電子カルテ入力重点研修」「書類作成重点研修」など、32時間の単元の割り振りを工夫されるのもよいと思います。今回、各単元の内容についても、再度吟味し加筆させて頂きました。図・表を多用し、わかりやすい内容を心がけました。総ページ数200余となりました。
 今年度の診療報酬改訂での評価引き上げにみられるように、医師事務作業補助業務に対しては、医療機関から非常に高い関心や期待が寄せられています。今後、補助者に対する生涯教育の場の提供や、情報交換の場が必要になると感じています。本書の内容に関しては、まだまだ不十分な箇所も多々あるかと思います。皆様からの、ご意見を頂けましたら幸いです。
 平成22年5月
 中村 雅彦

■ 主要目次

1 医療事務職:チーム医療を支える一員としての事務職の役割を理解する。
2 医師事務作業補助者:医師事務作業補助者の業務・研修について理解する。
3 医療保険制度:保険診療(療養担当規則を含む)、自由診療、混合診療、労災保険、
  自賠責保険について理解する。
4 介護保険制度:介護保険制度の仕組みを理解する。
5、6 医療関連法規:医師法、医療法、薬事法の概要を理解する。
7 医療情報化の歴史:わが国の医療情報化の歴史を知り、医療IT先進国の現状について
  理解する。
8、9 診療録(カルテ):カルテの価値を理解し、開示に値するカルテについて学ぶ。
    クリティカルパス、DPCについて理解する。
10、11 電子カルテ:電子カルテ利用の3条件、さらにペーパーレス・フィルムレスについて
    学ぶ。
12、13 カルテの記載業務:カルテ記載時の留意点、POMRによる記載方法を学ぶ。
14、15 オーダ入力業務:オーダの種類、入力権限について理解し、転記ミスを防ぐ。
16、17 書類作成業務:「診断書」「指示書」など院内で使われている書類の種類を知り、
    記載する事項を理解する。
18 医学一般(1) バイタルサイン、循環器系
19 医学一般(2) 脳神経系
20 医学一般(3) 消化器、内分泌系
21 医学一般(4) 筋骨格系
22 医学一般(5) 皮膚、眼科、耳鼻咽喉科系
23 医学一般(6) 泌尿、生殖器系
24 部門システム(薬剤科):「処方」「注射」オーダの代行入力時の注意点を確認する。
  薬剤師の業務の概要を理解する。
25 部門システム(放射線科):HIS-RIS-PACS関連、DICOM規格について理解する。
26 部門システム(検査科):検査科の主な業務と、検査オーダの流れを理解する。
27 部門システム(リハビリテーション科):リハビリテーションに関する書類の確認と、
  PT、OT、STの実際について理解する。
28 部門システム(栄養科):栄養管理に関する書類の作成と、NSTの活動を理解する。
29 個人情報保護:患者情報の取り扱いに関する留意点(個人情報保護法)と、
  守秘義務について理解する。
30 情報セキュリティ対策:「人的」「技術的」「物理的」セキュリティ対策の3つを理解する。
31、32 医療安全
(1)リスクマネジメント:リスクマネジメント、コンフリクトマネジメント、
   医療メディエーターについて理解する。
(2)院内感染対策:職業感染について理解し、スタンダードプレコーションが実施できる。

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