医学生・コメディカルのための手引書


リハビリテーション概論 改訂第2版




著 者
編著:
上好 昭孝(大阪河崎リハビリテーション大学 学長)
土肥 信之(神戸医療大学リハビリテーション学部 教授)
発行年
2011年3月
分 類
リハビリテーション医学
仕 様
B5判・200頁
定 価
改訂第3版があります.
ISBN
978-4-8159-1876-7
特 色 
 ● 医学生やコメディカルなど医療従事者を目指す人たちのためのリハビリテーション概論テキストブック.
 ● 学生やコメディカルの人たちにも分かりやすい内容.先生方にとって使いやすくてごろな教科書となっている.

 これからリハビリテーションにかかわられる医学生, 看護師, 理学療法士, 作業療法士, 言語聴覚士や関連専門職を目指しておられる方々に“リハビリテーションとは何か”, その本質にふれ, 現在のリハビリテーションの仕組みなどを知ってもらうこと, また教育される先生方にも使いやすい教科書であることを第一のテーマとして, 従来の教本とは異なり, 分かりやすく, 読みやすく, 理解しやすさに重点をおいた解説書としてのリハビリテーション概論書.
 今回は, 関連法規などの変更をふまえ, 全体を見直し内容をアップデート. さらに読みやすく理解しやすい, そして使いやすい教科書となっている.

●改訂序文●

 医学の進歩で本邦の高齢化は過去に例をみない勢いで進んでおり,老年人口の割合が平成30年には25%を越え,どの国も経験したことのない超高齢化社会になることが予測されている.疾病構造も急性疾患よりも生活習慣に伴うメタボリックシンドロームなど慢性疾患が多くなり,要介護者の増加が危惧されている.
 一方,女性のライフスタイルの変化から出産は減り少子化が伴い,ますます家族介護が期待できず,老老介護などの介護問題が緊急の課題となり紙上を賑わしている.医療経済面からも慢性疾患はまず病気が進行しないよう自己管理(ケア)が大切で健康的な日常生活を送るためのhealth care(健康づくり)が重要となる.障害を治療対象とするリハビリテーションは今日の社会背景から,全身の疾患予防に始まり,すべての外科手術の前・後などにも携わるようになっており,ますますニーズが高まり,またチーム医療の一員として参画するにあたって,高度な幅広い知識が必要不可欠になってきている.そこでリハビリテーション・スタッフを目指す医学生や看護士,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士など関連職種を目指す諸君に最新のリハビリテーションに対する幅広い知識を習得してもらうため,平成21年(2009年)にリハビリテーション専門職教育に長年携わっておられる先生方に,簡略でわかりやすい教本としてご執筆いただき初版を世に送りだした.幸い多くの教育関係者の方や専門職を目指す諸君から好評をいただき2年が経過したところである.
 この間,関連法規などの廃止もあり,内容をよりアップデートなものとするため全体を見直したうえ,第3・13章は水島,安武教授の協力で全面的に改訂し,他の章も各先生方に修正・加筆いただき,今回,よりわかりやすい教本になったものと思っている.
 所期の目的どおり,医学生はじめコメディカルの道に進まれる諸君に教本として読んでいただき,リハビリテーションに対する理解を深め,ご批判いただければ編集者の1人として望外の喜びである.
 最後に,改訂にあたり共同編集者の土肥教授,分担執筆者の先生方ならびに校正にご協力いただいた永井書店編集部はじめ,担当各位に厚く御礼申し上げる.

代表編集者
上 好 昭 孝

■ 主要目次

第1章 リハビリテーションの概念・理念・定義
  1.リハビリテーションの概念
   1)概   念(Concept)
  2.リハビリテーションの語源
   1)語   源
   2)歴史的変遷
  3.リハビリテーションの理念
   1)理   念(Philosophy)
   2)障害者自立生活運動(IL:Independent Living Movement)
   3)ノーマライゼーション・ハビリテーション
  4.リハビリテーションの定義
   1)定   義(Definition)

第2章 健康と障害の概念と分類
  1.健康・疾病・障害
   1)健   康
   2)疾   病(病 気)
   3)障   害
  2.疾病と障害の分類
   1)ICD(国際疾病分類)
   2)ICIDH(国際障害分類)
   3)ICF(International Classification of
     Functioning,Disability & Health:国際生活機能分類)
  3.障害を起こす疾病
   1)障害はあらゆる疾患に起こる可能性がある
   2)死亡原因と,寝たきりとなるなどの障害を起こす疾患とは異なる
   3)リハビリテーションの適応は広がっている
  4.障害へのアプローチ
   1)チームアプローチとカンファレンス
   2)ICIDHとICFによるアプローチの違い
   3)不可欠な社会資源の利用
  5.廃用症候群,誤用症候群,過用症候群
   1)廃用症候群(Disuse Syndrome)とは
   2)廃用症候群の症候
   3)誤用症候群(Misuse Syndrome)
   4)過用症候群(Overuse Syndrome)

第3章 障害の心理,心理的・社会的問題と受容
  1.病(障害)の心理
  2.防衛機制(Defence Mechanism)
   1)防衛機制の各種
   2)コーピング(Coping;対処)
  3.リハビリテーションと心理療法(Psychotherapy)
   1)カウンセリング(Counseling),心理療法,
     精神療法の用語について
   2)心理療法の基本的事項
   3)心理療法の過程で起こること
  4.患者・家族心理教育
  5.障害受容(Acceptance of Disability)
  6.発達段階と障害
   1)誕生から児童期へ
   2)青年期から成人期へ
   3)老 年 期

第4章 ヒトの発達と評価−とくに小児−
  1.ヒトの発達とは
   1)発達と成長
   2)発達の法則と特徴
  2.発達の時期と特徴
   1)発達時期の分類と発達課題
   2)発達の目安と鑑別診断
  3.発達の評価・検査
   1)小児期の発達に関する行政システム
   2)発達の評価
  4.小児のリハビリテーション
   1)小児のリハビリテーションの基本的な考え方
   2)主な小児疾患とリハビリテーション

第5章 リハビリテーション過程
  1.評価とは
  2.評価の捉え方
   1)障害別評価
   2)リハビリテーションの時期別評価
   3)疾患別評価
   4)分野別評価
  3.評価の時期
  4.評価の内容
   1)身体的評価
   2)精神的評価
  5.ゴール設定
  6.プログラムの作成
  7.リハビリテーション過程とクリニカルパス

第6章 リハビリテーションの諸段階
  1.医学的リハビリテーション(医学的リハ)
   1)目   的 82
   2)救急医療(受傷,発症から医療施設への搬入を含む)
   3)急性期医療(発症後2〜3週間−急性期リハ)
   4)亜急性期医療(発症後約3ヵ月−急性期・回復期リハ)
   5)慢性期医療(3〜6ヵ月−回復期リハ)
  2.職業的リハビリテーション(職リハ)
   1)目   的
   2)職リハのサービス提供について
   3)職リハにおける問題点
  3.社会的リハビリテーション(社会的リハ)
   1)概   念
   2)障害者に対する社会の変革
   3)障害者の能力(社会生活力)向上
  4.教育的リハビリテーション(教育的リハ)
   1)歴史的背景
   2)特殊教育(特別支援教育:Special Support Education,
     Special Needs Education)の現状
   3)統合教育と交流教育
   4)現状と課題

第7章 医療とリハビリテーション専門職種と役割
  1.医療職種に関わる諸問題
   1)インフォームドコンセント
   2)医療安全
   3)個人情報保護
   4)チーム医療
   5)EBM(Evidence-Based Medicine:根拠に基づく医療)
  2.リハビリテーション専門職種
   1)医   師(Medical Doctor)
   2)理学療法士(PT:Physical Therapist)
   3)作業療法士(OT:Occupational Therapist)
   4)言語聴覚士(ST:Speech Therapist)
   5)義肢装具士(PO:Prosthetist Orthotist)
   6)臨床心理士(CP:Clinical Psychologist)
   7)リハビリテーション看護師(RN:Rehabilitation Nurse)
   8)医療ソーシャルワーカー(MSW:Medical Social Worker)
   9)介護福祉士(CW:Care Worker)
   10)介護支援専門員(CM:Care Manager)

第8章 チームアプローチ
  1.チーム医療,連携医療
   1)チームの構成
   2)チームリーダー
   3)チームアプローチの有効性
  2.評価会議とゴール設定
   1)評価会議(ケース会議,ケース・カンファレンス:Case Conference)
   2)評価会議の問題点
   3)ゴール設定
  3.リハビリテーションプログラムとクリニカルパス
   1)クリニカルパスの成り立ち
   2)わが国のクリニカルパス
   3)リハビリテーション医療におけるクリニカルパス

第9章 ADL,QOLの概念と評価法
  1.ADL(Activities of Daily Living)(狭義,広義)
   1)ADLの概念
   2)ADLの項目
   3)ADL評価表
  2.IADL(Instrumental Activities of Daily Living)
   1)IADLの項目
   2)IADL評価表
  3.QOL(Quality of Life)
   1)QOLの概念
   2)QOLの項目
   3)QOL評価表

第10章  地域リハビリテーションと社会資源,在宅ケア
  1.地域リハビリテーションと社会資源
   1)地域リハビリテーション
   2)社会資源と施設
   3)地域リハビリテーションの実際
   4)施設サービス
  2.在宅ケア
   1)在宅ケアと在宅医療
   2)ケアの理念
   3)ケアの目標
   4)ケアの対象疾患
   5)緩和ケア
   6)介護支援
   7)療養支援診療所
   8)著者の在宅ケア実績

第11章  高齢者・健康対策と少子化対策
  1.高齢者対策
   1)ゴールドプラン21
   2)2015年の高齢者介護〜高齢者の尊厳を支える
     ケアの確立に向けて〜
   3)今後の展望と課題
  2.健康対策
   1)健康管理
   2)人間の活動領域の拡張に向けた取り組み(人間活動領域拡張力)
   3)医療・福祉技術のイノベーション(研究開発力)
   4)健康増進(ヘルスプロモーション:Health Promotion)
   5)1次・2次・3次予防
   6)各種保健(母子保健・学校保健・産業保健・精神保健など)
  3.少子化対策
   1)少子化の背景
   2)少子化対策に関する施策

第12章  医療・福祉制度
  1.社会福祉制度の概念と定義
   1)社会福祉とは何か
   2)社会福祉の対象の多様化
   3)社会福祉の原則と連携
   4)社会福祉制度の転換と統合
  2.医療保険制度
   1)医療保険とは何か
   2)医療保険の仕組み
   3)医療サービスの仕組みと機能
  3.公的扶助制度
   1)公的扶助と所得保障
   2)生活保護の基本原理と原則
   3)生活保護の種類
  4.介護保険制度
   1)介護保険が成立するまでの過程
   2)介護保険の仕組み
   3)介護保険におけるサービス給付の種類と内容
   4)介護サービスの提供と利用者の負担

第13章 医療法・福祉関係法規
  1.医 療 法
   1)医療提供の理念の明示と在宅医療の推進
   2)医療計画
  2.保健衛生法規
   1)地域保健法
   2)精神保健福祉法
   3)高齢者医療確保法
  3.福祉関係法規
   1)障害者自立支援法
   2)身体障害者福祉法
   3)知的障害者福祉法
   4)発達障害者支援法
   5)児童福祉法
   6)児童虐待防止法
   7)老人福祉法


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