リウマチ病セミナー XXII


著 者
監修 七川 歡次(滋賀医科大学名誉教授)
発行年
2011年12月
分 類
膠原病・リウマチ
仕 様
B5判・240頁
定 価
(本体 8,200円+税)
ISBN
978-4-8159-1893-4
特 色 
 リウマチ学のいまを知らせる好著.本セミナーは,1990年以来毎年発行されて,今回で22冊目.
 内容は,リウマチ病の捉え方に大きく影響する新しい知見とそれに基づく新しい考え方.リウマトロジーの醍醐味を教えてくれるリウマチ病研究の歴史.そして,今やリウマチ学の最大のテーマである骨粗鬆症の最新知見.多彩で新しい薬剤のレビュー,大きく進歩する手術技術などを取り上げる.
 常に本領域の水先案内人として,最新の研究成果・治療データを提供してきた.多彩で日進月歩の進展をみせるリウマチ学を一流の研究者たちが思う存分成果を披露している.

■ 序   文 ■

 今回は良い論文ばかりで、rheumatologyの世界での進歩をよく伝えていて、本セミナーの面目を際だたせてくれていて、大へん有難く、また力強く感じている。
 八田和大先生のIgG関連疾患の“物語り”はattractiveで、経験も豊富で、啓発されるところが大きい。一読をおすすめしたい。福田眞輔先生の炎症性斜頸の論文は査読された塩沢俊一教授が流石profの論文であるといわれていたが、私もレクチャーの“exemple”(見本)であるといいたい。レクチャーの役割をどの程度こなすかということも本セミナーでは問われているが、巻を重ねるごとに洗練されてきているように思われるがどうだろう。他科の人にも分りやすくというのをモットーとしているが、しかもレベルを落さないということは、各科の総合からなるrheumatologyに不可欠で、これは本来臨床家にとって必須の条件である。高度の専門家集団を否定するものではなく、rheumatologyの視点を鍛えなければならないということである。血管炎とB細胞標的治療、人工膝関節、FAI(femoroacetabular impingement)、SLE治療におけるセルセプト等々、長くなるので列挙は止めるが、いずれもすぐれたレクチャーの記録である。自己免疫性甲状腺炎のリウマチ症状はわが国における実態を伝えていただいた貴重な論文と思う。萩原英恵先生に深謝したい。
 テクニックや薬物の開発、応用によってリウマチ病の治療に貢献することはリウマトローグの関心が最も高く、夢でもあるが、至難のことでもある。これに関連するものとして、膝OAと半月板、osteoid osteomaのラジオ波焼灼術、ウイルス感染とRA、慢性疼痛とケモカイン、Crohn病などがあり、いずれも臨床に直結した情報を呈供してくれている。
 Rheumatologyの領域での大きなテーマである骨粗鬆症については、以前本セミナーで武政龍一先生に椎体形成術の講演をしていただいたが、今回その後のfollow-up成績を知ることができた。手術法も工夫され、良い成績が示されていて大へん勉強になった。厚く御礼申し上げたい。
 薬剤治療については稲葉雅章教授から大へんinstructiveな、日常の診療の指針となる内容で、一読をおすすめしたい。多種類の薬剤、その副作用、遺伝因子、環境因子が絡みあって、影響する因子は数えきれない。骨粗鬆症にかぎらず、リウマチ性、慢性疼痛性症候群、これに老化が加わり、しかも臨床家は目の前の患者に最も適切と思われる治療、さらには予防を選択し、複雑な人間を相手に、簡単なtarget治療というようなことにならない。これがrheumatologyの難しさでもあり、張り合いでもあり、そこに楽しさをも見い出すことができる、そういう若い人が育つことを期待している。
 空手とスポーツ障害について織部元廣先生からすぐれた論文を戴いた。ご本人が有段者で指導者であることから迫力のある論文で、一つのexempleであると思う。
 紙数がつきたのでこの辺でとどめるが、最後に西林保朗先生の“脊椎後彎の臨床再訪”はリウマトロジーの臨床の見事な論文であって、嬉しく思っている。これはわが国のリウマチ学を一そう豊にしてくれたものと感じられ、また勇気づけてくれ、行く手が明るく、ひらけてきた感じがしている。

2011年12月
七川 歡次

■ 主要目次

炎症リウマチ
 2010ACR/EULARの関節リウマチ分類基準  村田 紀和
 小児の炎症性斜頚  福田 眞輔
 自己免疫性甲状腺炎のリウマチ症状  萩原 英恵,窪田 純久,宮内 昭
 乾癬性関節炎と骨融解  寺島 大介,福田 眞輔
 IgG4関連疾患  八田 和大
 Behet病2011  石ヶ坪良明
 Spondyloarthritisの有病率(日本)  川崎  拓
 RAの発症と煙草:再訪  前田  晃

骨関節,脊椎,神経
 膝関節OAと半月板  中田  研
 Femoroacetabular impingement (FAI)の病態と治療  川崎  拓
 Enthesisの解剖とenthesopathy  熊井  司
 仙腸関節の痛みとその診断  山岡 弘明
 脊椎後弯の臨床再訪
  −頸椎後彎(首垂れ症):“隠れ首垂れ症” を探そう−  西林 保朗
 空手とスポーツ障害  織部 元廣

燐・カルシウム代謝
 いつまでビスフォスフォネート薬を使い続けるのか?  稲葉 雅章

検査,評価
 リウマチ病における睡眠検査の意義  志水 正敏
 抗シトルリン蛋白抗体2010  田中枝里子
 IL23はSpAの新しいマーカーとなるか?  森  幹士

生物学的反応
 慢性疼痛とケモカイン  三木 健司
 骨組織の生体ライブイメージング  石井  優

治療と副作用
 生物学的製剤からの離脱  田中 良哉
 RA患者での免疫抑制剤・生物学的製剤投与による
  ウイルス感染への影響  竹内 孝男
 血管炎に対するB細胞標的治療  佐伯 行彦
 SLE治療におけるセルセプトの位置  塩沢 俊一
 クローン病2010−生物学的製剤で変わったクローン病の治療−  松本 譽之
 類骨骨腫のラジオ波焼灼術  名井  陽
 リウマチの足、足関節に対する装具療法  島村 雅徳

手   術
 人工膝関節置換術の最新情報−動態解析の観点から−  冨田 哲也
 骨粗鬆症性椎体骨折に対する椎体形成術−再訪−  武政 龍一
 手首の骨折−橈骨遠位端骨折を中心に−  本城  昌

索   引(XXII)
総  索引(I〜XXII)
人 名 索 引(I〜XXII)
Drug Information


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