認知症診療の作法


著 者
著:
長谷川 和夫(浴風会認知症介護研究・研修東京センター 名誉センター長)
発行年
2012年￿11月
分 類
臨床医学一般 精神医学
仕 様
A6判・110頁
定 価
(本体 1,800円+税)
ISBN
978-4-8159-1904-7
特 色 
◆ 認知症診療のなかへ,“パーソン センタード ケア”の理念を生かしてゆく.
 これが本書の企図していることであり,著者が認知症診療にたずさわるすべての診療医へ向けた提言でもある.
 超高齢社会のなかでの認知症診療の本来あるべき姿と,診察の基本,技法,環境条件などを長年の経験をもとにわかりやすく説いている.また,文庫サイズで読みやすく内容も凝縮.精神科のみならず,かかりつけ医,研修医の方々に身近なバイブルとして愛読いただきたい書である.

■ 序 文 ■

￿￿ 認知症診療にパーソン センタード ケア(Tom Kitwood 1997年)の理念を生かしていくこと。これが本書の企図していることです。
 およそ10年前、2001年に聖マリアンナ医科大学から現在もかかわっている浴風会認知症介護研究・研修東京センターに赴任した頃に上記の理念に出会いました。以来、認知症ケアの人材育成に努めている間に、“その人を中心にしたケア”で認知症の人がいきいきと暮らし始めることを知りました。そして数年前から街角の診療所で短い限定された時間ですが認知症診療にかかわり、ようやく本来あるべき認知症の人とのかかわりを診療に生かし始めました。
 基本的なことは、認知症の方が残された神経細胞のネットワークで新しくつくりあげた絆を受け入れていくことが大切なのでしょう。それには環境の条件を整えたり、ある一定の技法が必要になります。これらの基本を学んで頂くと認知症診療は豊かな実を結び、御本人や家族に明るい平安が与えられます。そして診療医としての確かな学びと達成感が与えられることを体験しています。
 これからの超高齢社会では、避けて通ることのできない認知症診療に期待されている1つの姿だと思います。是非御一読を賜わり、御教示頂きたいと存じます。

 長谷川 和夫

■目次■

1 認知症の対応の変遷とかかりつけ医への期待
 1.介護保険の導入
 2.町づくり活動と認知症当事者からの発信
 3.「痴呆」から「認知症」へ

2 パーソンセンタードケアとは何か

3 予備問診表について

4 診察室の条件

5 面接者としての注意点

6 認知症の人とのコミュニケーション
 1.不安感を取り除くこと
 2.高齢者のペースに合わせること
 3.目を見て話すこと
 4.適切なメッセージの使い方
 5.感情の交流を重視する
 6.聴くことを第一にする、待つこと
 7.家族との面談

7 長谷川式認知症スケールの使い方

8 認知症の重症度評価
 1.CDR
 2.FAST
 3.日常生活自立度判定基準

9 告知について
  どのように、そしていつ告知するか
10 認知症と鑑別を要する状態
 1.高齢者の忘れっぽさ
 2.うつ状態、うつ病
 3.せん妄

11 認知症の原因疾患
 1.アルツハイマー型認知症
 2.軽度認知障害
 3.血管性認知症
 4.レビー小体型認知症
 5.前頭側頭型認知症
 6.嗜銀顆粒性認知症
 7.正常圧水頭症
 8.慢性硬膜下血腫
 9.アルコール性認知症
  [チアミン(ビタミンB1)欠乏性認知症]
 コラム 若年性認知症

12 認知症診療の事例から
 1.待つことの重要性を感じた事例
 2.高度の認知症事例

13 認知症診療の作法
 1.認知症の本人を中心にすることを第一に
 2.「治す医療」から「支える医療」に
 3.診療日の設定と介護職との連携
 4.感性をもっていること
 5.絶対者との絆をもつこと
 6.家族との適切な対応を工夫する
 7.医師としての基本的な作法

●避難所の支援ガイドについて



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