■ 改訂第5版出版にあたって
医師事務作業補助体制加算が平成20年の診療報酬改定で新設されて以来、全国の医療機関で医師事務作業補助者の採用が進められています。
各種学会や論文などで、導入実績や効果について評価する報告が多数見受けられます。医師事務作業補助者は、多忙な勤務医の事務作業を補助し、
医師が本来の診察に専念できる環境づくりを第一の目的に配置されていますが、近年、期待は高まる一方です。
そこには、単に医師の事務作業の穴埋めをするだけにとどまらず、質の高い診療録や医療書類の作成、診療情報の二次利用による臨床統計や学術資料の作成など、
チーム医療を担う自立した医療職としての期待があるように感じます。医療費の抑制が叫ばれる中、診療報酬改定のたびに積極的な評価が行われ、
施設基準の緩和や加算点数の引き上げが行われてきました。
今回28年度の改定でも、院内での勤務場所に対する要件が緩和され、さらなる増点となりました。また従来、医師事務作業補助体制加算の対象病院は、
急性期医療を行う病院に限定されていましたが、特定機能病院(一般・結核・精神)、療養病棟にまで拡大されました。医師の最も身近なパートナーとしての
活躍が求められていることに他ありません。
また、病院経営上も医師の診療への専念による業務の効率化や収益の改善効果が期待されています。
本書は医師事務作業補助者の研修テキストとして、21年に初版を上梓させて頂きました。お陰様でご好評を頂き、院内研修や自学自習に活用しているとの多くの声を頂いております。
Up-to-dateな情報の提供を心掛け、永井書店のご厚意もあり、2年ごとの診療報酬改定に合わせて内容の見直しを重ね、第5版出版となりました。今回も診療報酬改定に準拠し、
数ヵ所の加筆も致しました。
医師事務作業補助者の教育は、本人の向学心はもちろんのこと、医師をはじめ共に働く多くのスタッフの協力が欠かせません。ご意見など頂けたら幸いです。本書が医師事務作業補助者育成の一助になれば望外の喜びです。