改訂第2版序  

 約6年前に,臨床の現場で本当に役に立つ本を,という永井書店東京店の高山 静氏の薦めで「よく理解できる頸,肩,腰,股,膝の診療」という変則的な書を刊行しました.稀にしか遭遇しない疾患はすべて外し,毎日の通常の整形外科診療で頻繁に遭遇する代表的な疾患を理解しやすく記述し,また診療の合間にも読みやすくするために活字も少し大きめにしました.  
  こんな企画が通用するのか,と不安もありましたが,思いのほか好評と聞いております.ただ,肘関節,手関節・手,足関節・足等にも日常の診療で遭遇する重要な疾患が少なくないので,次の機会に是非加えて欲しいという御意見を多く頂いたので,今回の改訂を機会に大部「手・足を伸ばし」ました.これによりほぼ全身を網羅する書に発展させることができました.  
  編者も二人となりました.  
  但し,当初からの方針は貫き,運動器の疾患を理解する上で不可欠な解剖・機能解剖を本文への導入とし,また日常臨床で稀にしか遭遇しない疾患は除いてあります.更に治療に関しては,手術療法の細部はそれぞれの専門書に譲り,保存療法に重点を置いております.  
  幸い,今回も第一線でご活躍中の,それぞれの分野の専門医である多くの新しい先生方に加わって頂くことができました.これらの先生方は御多忙であるのを承知のうえで,頂いた原稿を編者が読者の立場で一語一句を読みました.そして内容もさることながら,読者の多くはその分野の専門医ではないので,何回も読み返さないと分かり難い文章や,不親切な記述は絶対に避けるべきという編者の信念から,可成りの部分を,また一度ならずも書き直して頂きました.  
  少なからずお腹立ちがあったとは思いますが,こらえて御協力下さった著者の先生方に対しこの場を借りて心より感謝の意を表します.  
  本書が,日常整形外科関連の疾患を取り扱う先生方,パラメディカルの方々および学生の方々のお役に立てれば幸甚です.また本書に対する多くの御意見を頂ければ,必ず次の機会に生かしたいと思いますので宜しくお願いいたします.  

  平成17年5月 編   者